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2023.08.03笑顔の和を広げる、やさしいこめ油のファクトリーショップ
こめ油工房 さんまる
店内の多くの製品はシンプルかつやさしいパッケージ。そして店員さんが身に付けているエプロンにもさりげなくこめ油のブローチが
2023年4月、天童市に三和油脂株式会社の直営ファクトリーショップとしてオープンした「こめ油工房 さんまる」。こめ油のショップとはどのようなものなのか、三和油脂株式会社で、こめ油工房 さんまるの担当をしている蜂谷 渉さんを山形会議が訪ね、お話を伺ってきました。
もともとは三和油脂で営業をされていた蜂谷さん。お店の企画段階から携わっており、4月からは店舗の担当となりました
こめ油の魅力をもっとお客さまに発信できる窓口に
こめ油とは玄米のぬか層から生まれた植物油で、オレイン酸やリノール酸などの栄養素が豊富、口当たりが良いなどの特長があり、最近注目されている健康オイルです。中でも三和油脂のこめ油は人気で、根強いファンも多いそう。
「弊社では昭和24年(1949)に創業してから現在までこめ油を製造しております。こめ油を最終製品まで製造できるメーカーは、東北では弊社のみ、全国では弊社を含めて5社ほどしかございません。創業以来積み重ねてきた経験で、希少なこめ油を最大限効率的に抽出・精製し製品化できるところが強みです。
普段は企業さま向けに販売することが多く、一般の方へ直接販売する機会がほとんどありませんでした。また、弊社ではこめ油以外の製品も開発を行っているのですが、出来上がった製品を販売する窓口がないことも長年の課題としてありました。こうした課題を解決するために、お客さまに直に発信できる場として、ショップの計画が始まりました。弊社初の小売店を作ると決まってからは、社員みんなで案を出し合い、試行錯誤しながら創り上げていきましたね」
三和油脂といえばやはりこめ油。定番商品「まいにちのこめ油」も店内で販売しています
「さんまる」に込められた地域への想い
「さんまる」という印象に残る店名ですが、蜂谷さんにショップの名称の由来をたずねました。
「三和油脂の企業理念に、お客さま・従業員・地域社会の3つを大事にしようというものがあります。この3つを丸くつなげていこうという意味で、店名は「こめ油工房
さんまる」と名づけられました。また、山形では『③(まるさん)』のことを『さんまる』と呼ぶ習慣がありますので、店名にご当地性も意識しております。地域の皆さまに愛されるお店になってほしいという想いが込められています」
店内には、こめ油のほかにもお菓子やお惣菜など魅力的な製品が並びます
こめ油を使用した商品、そして可能性
こめ油自体はもちろん、こめ油を使ったお惣菜もおすすめと教えてくれた蜂谷さん。中でもコロッケは、三和油脂のこめ油を100%使って揚げているこだわり商品の一つで、油切れが良くカラッとした食感を味わえる一品です。
「二層仕立てのかぼちゃコロッケ」はクリーミーなかぼちゃポタージュと濃厚でホクホクとしたかぼちゃ入り
(左)地元天童の企業とのコラボ商品「コメマヨね」。さっぱりした味わいのドレッシングで、さまざまな料理に合う一品です。(右上)店内でも販売されている米ぬかパウダー『毎日食べるハイブレフ』入りの「ぶらんそふと」。ミルクとショコラのミックスが人気。(右下)酒田市のイタリアンレストラン「アル・ケッチァーノ」の奥田シェフ監修「ライスコロッケ」は、山形県産はえぬきとモッツァレラチーズを合わせ、トマト風味に仕上げた贅沢なコロッケ
(1枚目)地元天童の企業とのコラボ商品「コメマヨね」。さっぱりした味わいのドレッシングで、さまざまな料理に合う一品です。(2枚目)店内でも販売されている米ぬかパウダー『毎日食べるハイブレフ』入りの「ぶらんそふと」。ミルクとショコラのミックスが人気。(3枚目)酒田市のイタリアンレストラン「アル・ケッチァーノ」の奥田シェフ監修「ライスコロッケ」は、山形県産はえぬきとモッツァレラチーズを合わせ、トマト風味に仕上げた贅沢なコロッケ
また食品以外でもこめ油が生かされている製品が店内にあります。
「私が特に魅力的だと感じているkitpasという製品は、ライスワックスが練りこまれているクレヨンです。ライスワックスはこめ油の製造過程で生まれてくる副産物。こちらを取引先さまにクレヨンの原料として使っていただいています。こめ油は副産物も有効活用できることをお伝えしたく、そのクレヨンをお店でも販売しております」
描いて消せるクレヨン「kitpas」(日本理化学工業株式会社)。木のテーブルやガラスなどに書いてもさっと拭き取れ、小さいお子さんがいるご家族におすすめ
地域に根差し、愛されるお店を目指して
食品だけでなく、こめ油の可能性を発信しているこめ油工房
さんまる。今後のお店の目標をたずねると、地域に愛されるお店になってほしいと蜂谷さんは答えます。
「頻繁に来てくださる方もいらっしゃいますし、そういったお客さまとのコミュニケーションを続けて、地域の方一人ひとりに『いいお店だよ』と紹介してもらえるような存在になりたいです。ゆくゆくは地元天童の観光地の一つになりたいですね」
今後はこめ油製品を使ったワークショップなど、積極的にイベントを開催していく予定もあるそうです。
日本人に馴染み深い米で作られるこめ油とその製品は、想像以上にさまざまな可能性を感じさせるものがありました。
ぜひ「こめ油工房
さんまる」に足を運んで、こめ油の魅力とおいしさを、皆さんも感じてみてくださいね。