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2023.01.13

小さな町に生まれたファッションの聖地

Yonetomi STORE

ファクトリーに入るとすぐにワクワクするアイテムがお出迎え。自社ブランドのTHISISASWEATER.の他、人気ブランドBLUE BLUEとのコラボアイテムなどがずらりとならびます

ファクトリーに入るとすぐにワクワクするアイテムがお出迎え。自社ブランドのTHISISASWEATER.の他、人気ブランドBLUE BLUEとのコラボアイテムなどがずらりとならびます

“ファッションは生活なり”と言葉を遺した米富繊維株式会社(以下米富繊維)の創業者大江良一さん。その言葉を掲げて自社ブランドをはじめ、暮らしを彩るアイテムたちが揃った店舗が2022年8月、山辺町のファクトリー内にオープンしました。
こだわりが詰まったショップのコンセプトや、想いなどを代表取締役社長大江健さんへ伺ってきました。

山辺町1136の地で紡ぐ歴史

1952年(昭和27年)、に創業した米富繊維。その頃、山形県では羊の飼育が盛んな時期で山辺町や寒河江市が中心となり、日本有数のニット産地として成長を遂げました。
その立役者となった創業者で健さんの祖父・良一さんは、新しい素材・設備を取り入れ、良いモノをつくり出す努力をし、OEM/ODMのメーカーとして躍進しました。

※OEM=他社ブランドの製品を製造すること。※ODM=他社ブランドによる製品を設計・製造すること。

「会社の始まりは、自分たちで羊の毛を刈り取ったものを糸にし、手編みでセーターをつくって売り歩いていたそうです。風呂敷に入れて北海道まで行っていたと聞いています」と健さん

「会社の始まりは、自分たちで羊の毛を刈り取ったものを糸にし、手編みでセーターをつくって売り歩いていたそうです。風呂敷に入れて北海道まで行っていたと聞いています」と健さん

山辺から世界へ通じるものづくり

“良いモノを、良い環境の下で楽しく明るく産み出したい”と考え、会社を運営していた良一さんの想いは、二代目である父の富造さん(現在は代表取締役会長)へ、そして三代目である健さんにも受け継がれます。
「進学をきっかけに上京し、東京のセレクトショップに就職しました。当時はスーツなどを中心に販売しており、イタリアのファクトリーブランドの人気を目の当たりにし、衝撃を受けました。帰省した時に、当時米富繊維の社長だった父と今後のことを話す機会があり、せっかく優れた技術や人材があるのだから、自社ブランドを立ち上げて販売したいと提案しました」
そこで、健さんは2007年に米富繊維に入社し、オリジナルブランド始動という新規事業への挑戦が始まりました。

※工場が自分たちによって手がけて市場に流通させているブランドのこと。

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米富繊維は顧客との打ち合わせから始まり、編地の開発、編み立てなど全ての工程を自社で行っています。これまでさまざまなオーダーに応え、長年培ってきた確かな技術、職人、そして若手の感性や想像力が揃っていたため、自社ブランドという自由の中で知恵やアイデアが泉のように湧き出したといいます

さまざまな試行錯誤を重ね、2010年、ニットツウィードと呼ばれる独自のテキスタイルを用いた米富繊維初めてのオリジナルブランド「COOHEM(コーヘン)」が誕生。2020年には、セーターとは何か?の問いに答えるような形の「THISISASWEATER.(ディスイズアセーター)」、そして、日常の装いを楽しめる「Yonetomi」を健さんは生み出していきます。

オンラインから実店舗へ。触れて見て感じられる空間

3つのオリジナルブランドをセレクトショップや百貨店、自社のECサイトやポップアップストアでの販売を続けていた健さんですが、ある想いが芽生えます。
「ポップアップストアを出店するたび、いろいろな年代の方や地域の方が来てくれました。当社のブランドのファンは品質にこだわりファッションを生活の中で楽しむ高感度の方が多くいらっしゃいます。そういったお客さまの姿を見て“常に店舗があったらみなさん山形に足を運んでくれるのでは”と思い始めたんです。同時にオリジナルブランドをきっかけに、米富繊維自体を知ってくださった方もたくさんいらっしゃるので、工場がある山辺にお店を作ったら工場見学ができたり、いろんなコンテンツを発信できる良さもあるなと確信しました」
2022年8月、オリジナルブランドのアイテムだけでなく、オリジナルブランドとマッチする商品、そしてブランドが生み出す空間を提供できるといった健さんの想いをのせた実店舗「Yonetomi STORE」を工場内に誕生させました。

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1階には日常使いしやすい製品のラインナップ。「Yonetomi」や、健さんがセレクトしたブランドのシューズ、ニット製品専用の洗剤などが並びます。また、2フロアとも試着室には同じく山辺町の産業をけん引するメーカー「オリエンタルカーペット」の絨毯を使用するこだわりが

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2階にはファッション性と機能性が高い製品がずらり。複数の異なる糸を編み立てる交編(こうへん)の造語として名づけられたオリジナルブランド「COOHEM」の各種アイテムには“これもニットなの!?”と思わず口にするほど独創性のあるアイテムも

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「THISISASWEATER.」はニットを知り尽くした米富繊維だからこそできるシンプルかつ美しいセーター。カラー展開がとても豊富なので、自分好みの色が見つかります。また、米富繊維のYouTubeチャンネル(https://www.youtube.com/watch?v=cZxGR647xnQ)では健さんがセーターの着こなし方を提案

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オリジナルブランドにぴったりな健さんセレクトのアイテムも勢揃い。トラックの幌(ほろ)を再利用して作られたスイスのメッセンジャーバッグのメーカー「FREITAG」や、年齢やジェンダーを超えて自由にデザインすることをコンセプトとした「エンダースキーマ」の靴などが並びます。コーディネートを考えるだけでワクワク!

店内には作り付けの商品棚を使用せず、稼働式のものを。商品によってさまざまなレイアウトにできるからだとか。また、取り外すことも可能なため、大きなワンフロアにして、レセプションパーティーやセミナーなどもできるそうです

店内には作り付けの商品棚を使用せず、稼働式のものを。商品によってさまざまなレイアウトにできるからだとか。また、取り外すことも可能なため、大きなワンフロアにして、レセプションパーティーやセミナーなどもできるそうです

米富繊維をより身近に

アイテムとフロアの魅力をお聞きした後に、今後について健さんにお伺いしてみました。
「稼働日ではない土曜日は工場前の大きな駐車場が空くので、山形の古着屋さんとか、いろいろな方とシーズンに1回くらいフリーマーケットをやってみたいと考えております」と教えていただきました。

ファッションは生活なり −米富繊維株式会社創業者 大江良一

より高品質に
より高感度に
より目新しく
より洗練され
進化し続けること −米富繊維株式会社代表取締役会長 大江富造−

独自の技術
独特な精神性
進化と深化を止めず
時代と世界を見据え
挑み続けること −米富繊維株式会社代表取締役社長 大江健−

創業者と会長の想いを継承しカタチにし続ける健さん。
同じものが他にない山形だからこそ発信できるもの、夢を与えるファッションを、ここ山辺からこれからも進化する老舗店舗「米富らしさ」を発信し続けます。

「専属の店員はいません。商品を熟知した当工場のスタッフがお店をご案内します。気軽に遊びにきてください」と健さん

「専属の店員はいません。商品を熟知した当工場のスタッフがお店をご案内します。気軽に遊びにきてください」と健さん




米富繊維株式会社 代表取締役社長 大江 健さん

1977年、山形県生まれ。高校卒業後、専門学校にてマーケティング、デザイン、ファブリックを学ぶ。その後、東京のセレクトショップのスタッフを経て、2007年、米富繊維株式会社に入社し、ニットテキスタイルの企画開発に携わる。長い歴史の中で独自に開発されたヴィンテージテキスタイルの数々に着目し、ニットツウィードという素材の持つ無限の可能性を追求し、表現をすべく2010年に自社ブランド「COOHEM(コーヘン)」を立ち上げる。2015年、代表取締役社長に就任し、国内外に日本のファクトリーブランドの進化を発信している。2016年TOKYO FASHION AWARDを受賞。

Yonetomi STORE

〒990-0301
山形県東村山郡山辺町大字山辺1136
(米富繊維本社・工場建物内)

この記事を書いた人
たいこかいぎさん

たいこかいぎさん
Profile 山形会議キュレーター。上山市出身。お酒を愛するアマチュア打楽器奏者。広い人脈により、さまざまな調査能力に長けており、情報が早い。敬意を込め周囲は「記者」と呼ぶ。
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