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2023.03.14

平野歩夢選手が横根スキー場に帰ってきた!子どもたちとのかけがえのない一日に密着

UNIQLO LifeWear Day 2023 with Ayumu Hirano

(画像提供:UNIQLO)

(画像提供:UNIQLO)

現地時間2月26日、アメリカで開催されたDEW TOUR男子スーパーパイプ決勝で、北京五輪以来となる公式戦優勝を果たした平野歩夢選手。それからわずか1週間後、その姿は山形県小国町の小さなスキー場にありました。
小国町横根スキー場は、平野選手が中学までハーフパイプの練習拠点にしていた場所。そんなゆかりの地で3月5日、『UNIQLO LifeWear Day 2023 with Ayumu Hirano』が開催されました。このイベントは、未来を担う子どもたちの夢を育み、より良い社会の実現を目指すために株式会社ユニクロが企画・実施したもの。当日は、県内外の小学4年生から中学1年生の子どもたちの計17名が参加し、ユニクログローバルブランドアンバサダーである平野選手とともに、ハーフパイプを滑ったりトークセッションなどを通して交流を図りました。
山形会議ではこのイベントの様子を取材。平野選手が語った子どもたちへのメッセージ、そして横根スキー場への思いをレポート形式で紹介します。

トップレベルの滑りを間近で体験

この日は雲一つない、絶好のスノーボード日和。イベントは、丁寧に整備されたハーフパイプを平野選手が滑り降りるデモンストレーションからスタートしました。まず午前中に行われたのが、約2時間のハープパイプセッション。最初は動きに硬さが見られた子どもたちでしたが、平野選手と一緒に滑り、直接指導を受けながら本数を重ねていくうちに緊張も少しずつ解けていった様子。そんな子どもたちを見ていて、平野選手も当時を思い出したよう。「毎日兄と練習に通っていた頃は貸し切りみたいな状態で、土日になると大人の人も滑りに来るのが嬉しかった。ここは自分のホーム。久し振りにまた戻ってこられた」と笑顔を見せていました。

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「こんなに晴れるのはめずらしい」と平野選手も驚くほどの好天に恵まれたイベント当日の横根スキー場。会場前には参加者を出迎えるべく、平野選手の大きなパネルが設置されていました。そして始まった子どもたちとのセッションとコーチング

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「子どもたちからの質問に答えたり、具体的にアドバイスを送る平野選手。憧れのプロスノーボーダーからの直接指導に、子どもたちは皆真剣に耳を傾けていました。(左下)平野選手が掴んでいるのは、「ロープ塔」と呼ばれるハーフパイプコース専用の簡易リフト。ロープを掴むと上まで引き上げてもらえる仕組みです(画像提供:UNIQLO)

「子どもたちからの質問に答えたり、具体的にアドバイスを送る平野選手。憧れのプロスノーボーダーからの直接指導に、子どもたちは皆真剣に耳を傾けていました。(3枚目)平野選手が掴んでいるのは、「ロープ塔」と呼ばれるハーフパイプコース専用の簡易リフト。ロープを掴むと上まで引き上げてもらえる仕組みです(画像提供:UNIQLO)

「世界を制したトップスノーボーダーの滑りに、会場内にいる多くの人たちが魅了され、歓声を上げていました。そして飯豊連峰と朝日連峰の美しい山並みが見渡せるのも、横根スキー場の魅力のひとつ(画像提供:UNIQLO)

世界を制したトップスノーボーダーの滑りに、会場内にいる多くの人たちが魅了され、歓声を上げていました。そして飯豊連峰と朝日連峰の美しい山並みが見渡せるのも、横根スキー場の魅力のひとつ(画像提供:UNIQLO)

日々の積み重ねが叶えた大きな夢

午後からは会場を屋内に移し、平野選手のトークセッションが行われました。横根スキー場は、平野選手が初めてハーフパイプにドロップインした場所。小学3~4年生の頃、X GamesやUS Openの映像を車の中で見ながらこのスキー場に来るのが日課だったと言います。その後、海外へ進出し、映像で見ていた人たちを初めて目の前にした時は、モチベーションがぐっと上がったそうです。

進行役のDJ AREEさん、そして『BACKSIDE SNOWBOARDING MAGAZINE』の編集長でスノーボード競技の解説者としても活躍する野上大介さんとともに登壇。最初に話題に上がったのは、新潟県村上市にある実家から横根スキー場までの約40分の道中について。「今日はあえて車で来たいと思っていました。ここに来る機会も減って、昔を思い出す気持ちになりたかったので。天気もすごく良くて気持ち良かったです」と平野選手(画像提供:UNIQLO)

進行役のDJ AREEさん、そして『BACKSIDE SNOWBOARDING MAGAZINE』の編集長でスノーボード競技の解説者としても活躍する野上大介さんとともに登壇。最初に話題に上がったのは、新潟県村上市にある実家から横根スキー場までの約40分の道中について。「今日はあえて車で来たいと思っていました。ここに来る機会も減って、昔を思い出す気持ちになりたかったので。天気もすごく良くて気持ち良かったです」と平野選手(画像提供:UNIQLO)

横根スキー場で練習していた頃は、ごはんも食べず1日300本滑っていたそう。「正直、小さい頃はずっと“(練習に)行きたくない”とか“毎日やりたくない”と思っていて。一日を心から楽しんだという日はない生活を送っていました」と、その胸の内を明かしました。平野選手にとっての“楽しい”は、友達と遊んでいる時や学校でみんなと触れ合っている時だったと言います。でもそういった気持ちからあえて離れなければならなかった厳しい環境の中、ひたすら練習に打ち込んでいた日々。「それがあっての今なので、無駄じゃなかったかなと思っています」

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結果よりもそこまでのストーリーを大切にしているという平野選手。「結果はどうでもいいわけじゃないけど、ケガした時の方が“何やってんだ”って。だからオフがない状態で、ずっと上に登っている気持ちでやっていることが多かったから、それはキツくなるよなって。でもこんな思いしてたら誰にも負けないっていうのはすごくあって、それでさらに強くなれた部分も大きかったと思います」(画像提供:UNIQLO)

また、子どもたちからの質問に答える時間も設けられ、小学生の頃のトレーニング方法を尋ねられた平野選手は、「トレーニング方法も大事だけど、一日のリフト券を無駄にしない気持ちみたいなものは小さいながら持っていた」「大切なのは一日のルーティンの積み重ね」「本数も大事だけど一つ一つを大事に、何を大事にするかっていう答えをなるべく出して、次にそれを意識して滑るってことをやるかやらないかで1~2年後の答えの出方が違ってくる」とアドバイス。そして、「大会の勝ち負けも両方大事。どちらも経験して、悔しい気持ちを次のステップにつなげていくことを繰り返していくことに意味がある。頑張ってほしい」と子どもたちにエールを送りました。

さらにこの日は、ユニクロのサステナビリティ担当者さんより地球温暖化についてのワークショップも行われました。二酸化炭素排出量が増えることで、2100年には世界の気温が3~5℃上昇し、地域によってはほとんど雪が降らなくなる可能性があることを知った子どもたち。二酸化炭素を出さないためにも、自然由来のエネルギーを使うこと・エネルギーをなるべく使わないこと・ものを長く使うこと・資源を再利用することの大切さを平野選手と一緒に学びました。

CO2削減のための取り組みとして、ユニクロではオーガニックコットンや再生原料といったサステナブルな素材を選択して服を作っていること、国連と一緒に世界中の困っている人へ服を届けていることなどが紹介されました

CO2削減のための取り組みとして、ユニクロではオーガニックコットンや再生原料といったサステナブルな素材を選択して服を作っていること、国連と一緒に世界中の困っている人へ服を届けていることなどが紹介されました

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最後に平野選手から直接サインを書いてもらった子どもたち。お互い自然に笑みがあふれます。一生の思い出に残る、宝物のような時間を過ごしました(左上、右下 画像提供:UNIQLO)

最後に平野選手から直接サインを書いてもらった子どもたち。お互い自然に笑みがあふれます。一生の思い出に残る、宝物のような時間を過ごしました(1枚目、4枚目 画像提供:UNIQLO)

参加者の中には、山形会議の運営元・藤庄印刷がある上山市と山形市から来た小中学生4人組も。蔵王ライザスキー場をホームに活動する「上山フリースタイルスノーボードスポーツ少年団(K.F.S.)」のトラユキくん、エイタくん、ソウタくん、マナトくん。「平野選手がすごくやさしく声かけてくれた」とみんな笑顔。このあと、平野選手からスポ少のビブスやボードにサインをもらえたようです。よかったね!

参加者の中には、山形会議の運営元・藤庄印刷がある上山市と山形市から来た小中学生4人組も。蔵王ライザスキー場をホームに活動する「上山フリースタイルスノーボードスポーツ少年団(K.F.S.)」のトラユキくん、エイタくん、ソウタくん、マナトくん。「平野選手がすごくやさしく声かけてくれた」とみんな笑顔。このあと、平野選手からスポ少のビブスやボードにサインをもらえたようです。よかったね!

「僕にできるのは、チャレンジする姿を届けること」

競技者を続ける平野選手にとって、今回のように直接子どもたちに指導する機会というのはとても貴重だったそう。「一緒に滑っている時間が、僕の中ではあっという間だった。子どもたちに囲まれてやれたことは、本当にこの先の自分のモチベーションにつながるし、子どもたちの笑顔にパワーをもらうこともできた。チャレンジする気持ちというのは、大人になればなるほど自然と薄れてくるもの。だからこそ夢に対してぶつかっていってもらって、大人になった時にそれを活かしてほしい。それが、自分がやってきたことであり、伝えたいこと。僕は相変わらずチャレンジしている姿を届けつつ、見て感じてもらって、それがみんなの夢やチャレンジにフィットすれば」と思いを語りました。

二刀流として、「スケボーでもスノーボードでも自分らしい姿を見せていきたい」という平野選手。世界を制したトップアスリートでありながら、その雰囲気はとても自然体で魅力的でした(画像提供:UNIQLO)

二刀流として、「スケボーでもスノーボードでも自分らしい姿を見せていきたい」という平野選手。世界を制したトップアスリートでありながら、その雰囲気はとても自然体で魅力的でした(画像提供:UNIQLO)

また、横根のハーフパイプとはどんな存在か?との問いに、「僕が育った大事な場所。この環境がなかったら、ハーフパイプをやっていたかもわからない」と答えた平野選手。決して恵まれているとは言えない環境だったからこそ、どうしたらいいかを考え、工夫し、そうやってここで培ってきた経験が自分を強くしてくれたと言います。
山形県民にとっても大きな喜びとなった、北京五輪での金メダル。そのルーツであるこのスキー場で平野選手の思いに直接触れた子どもたちが、これからどんな夢を持ち、どんなチャレンジをしていくのかとても楽しみです。

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平野選手の姿を笑顔で見守るのは、当時からハーフパイプの整備を担っている“ツネさん”こと高橋恒行さん(左奥)。「ツネさんに恩返しをしたいと思っている。1年に1回でも遊びに来て顔を見られたら。今後このスキー場をどういった形で良い環境にしていけるかも含めて、ゆっくり話したい」と平野選手

平野歩夢選手

(画像提供:UNIQLO)



イベント概要  UNIQLO Next Generation Development Program

ユニクロが2022年11月に発表した、ユニクログローバルブランドアンバサダーをはじめとする世界の一流アスリートやさまざまな団体と連携し、世界中の子どもたちを応援する次世代育成活動の総称。子どもたちが、スポーツの分野を極めた一流アスリートとの交流をきっかけに前向きに力強く生きるヒントを得ながら、持続可能な未来の担い手として成長できるよう、スポーツ競技の始動と合わせてサステナビリティをテーマにした教室を開くなどして社会貢献を実践しています。

この記事を書いた人
みどりかいぎさん

Profile 山形会議のキュレーター。元・書店員。青森生まれ、盛岡・仙台育ち、そして山形へ。今までの引っ越し回数は12回を数える。日々糖質との闘い。レモンサワーがあれば大丈夫。
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