life
2021.12.03忙しい毎日にも、心のよりみちをー。曜日限定、ごほうび雑貨店
手づくり雑貨 atelier nature (アトリエ・ナチュール)
店内には、布小物や革製品、アクセサリーなどハンドメイド作品から、紙ものや服飾雑貨、テーブルウェアにドライフラワーまで所せましと並び、どこから見はじめようかワクワクしちゃいます
オーナーが惚れ込んだ手づくり雑貨たち
白くてかわいらしい外観が目印。住宅地につき、駐車スペースに限りがあります。乗り合わせでのご来店を
ここは上山市御井戸丁(おいどちょう)、かみのやま温泉街からちょっと北に位置する住宅地。その一角にひっそりと佇む手づくり雑貨atelier nature(アトリエ・ナチュール)は、2015年5月のオープン以来、土・日・月の曜日限定ショップながら、多くの雑貨好きをトリコにしています。オーナーの深雪さんに、お店のこと、ハンドメイド作品の魅力などをお聞きしました。
手づくり作家のなおちゃんずさん(@nao_chan_s)の個性豊かなぬいぐるみとrocketさんの布小物のコーナー ※すべて取材時のアイテムですので、品切れにはご容赦ください
男性のお客さまがいちばん足を止めるという革製品のコーナーにはM-style 革ぐらし さん(@m_style.kawagurashi)のクラフト
とるねい堂さん(@tolnedo1018)は山形在住のイラストレーター。ポストカードや、おくすり手帳にカレンダー。特にカレンダーは、毎年楽しみにしているというファンも多くいらっしゃいます
「好きなものに囲まれていたいというのがお店の原点です」という深雪さん。昔から雑貨が好きだったといい、週末はお気に入りの雑貨店に足しげく通っていたほど。テディベアなどのアメリカのビンテージ雑貨をはじめ、好きなテイストは時代とともに変わっていったそうですが、手づくり雑貨に目覚めてからは、ご自身の作品をマルシェで出店するまでに。そんな時、ご実家のカーポートを取り壊す話になったタイミングで「ならばリフォームして雑貨店を」と決心したといいます。
「マルシェでお客さまと話すことがとても楽しくて。テントの出店であんなに楽しいなら、店舗という箱にいろいろな作家さんのアイテムを並べたらさらに面白いはずと、ワクワクしました。小売店で働いたことはなかったのですが雑貨店を営む友人に相談したり、リフォームについては地元の工務店さんと何度も打合せしたりして、夢を実現しました」
アンティークなミシン、タイプライター、電話機などが什器やディスプレイとして並ぶ店内。男性のお客さまはこういうところをじっくり見られるんだとか
lunedi777さんによるかぎ針編みのブローチ。手づくり雑貨は一期一会。どれにするか迷っちゃう時間も込みで、楽しいひとときですよね
ピュアジャスミンさん(@purepure_dewi)のアクセサリーたち。ピアスやイヤリングは鏡を見ながら耳元にあて、クローゼットの中のワードローブを思い浮かべるだけでも幸せ
冬期限定の販売という、ぷっくり*ほっぺさん(@pukuhope)の作品・雪だるまたち。毎年100人以上がお嫁にいくほどの人気アイテム。実店舗での販売はこちらのみとのこと(写真提供:ぷっくり*ほっぺ)
ハンドメイド作品を扱う雑貨店は、委託販売の場合が通常です。委託販売は商品の入替ができるなどのメリットがあります。ところがatelier natureは、作家さんの商品も委託ではなくメーカー商品と同じように買い切ります。それは深雪さん自らが声をかけた信頼のおける作家さんの作品のみを仕入れるからできること。だからこそ、ここは「店主が好きなもの」という調和が取れた世界観が存在します。
ドライフラワーやスワッグも店内を彩ります。「“お店に住んでみたい”とお客さまから声をかけられることもしばしば」と深雪さん。確かに、こんなセンスのいいお家だったら丁寧な暮らしができそうな気分に
クラフト以外にもマリメッコのマグカップ(左上)やイラストレーター・松尾ミユキさんのアイテム(右上)など、雑貨好きの心をくすぐるアイテムもばっちり押さえてあります
そして深雪さんが懇意にしている山形在住の作家さんたちは、こぞってお店に集まります。開店準備をしてくれたり、商品を並べてくれたり、納品がなくても遊びにいらっしゃるんだとか。「私なんかいなくてもお店が回るんじゃないかってくらい(笑)。商品の動向も見てくれるので、“こちらに交換しますね”と、売り場のメンテナンスまでしてくれます」。“子育てに一段落したくらいの、人生の同じステージにいる人たち”と深雪さんが表現するように、感性が似ていてお話が合うため、作家さん同士も仲が良いそうです。取引先といわれる関係よりは、チームやファミリーのような感じ。だからこそatelier natureは、愛情があふれる空間なのだと実感します。
心躍る、新たな取り組みも
atelier natureに隣接するyamagoya。フルリフォームを担当したのはatelier natureの店舗と同じ、株式会社西建さんによるもの
2021年10月、深雪さんはお店を増築。「はじめは倉庫をつくろうと考えていました。福袋などをしまうスペースがほしかったんですよ。コロナやウッドショックの影響もあり、構想してからようやく完成に至りました」
作家さんたちへ恩返しができないかと日頃から感じていた深雪さん。このyamagoyaをストックルームとしてだけでなく、作家さんの1DAYショップや企画展を開催することに。「お店が休みの日は、ここでワークショップもいいと思って」と、どんどんアイデアが湧いていきます。お世話になっている上山市のお花屋さんと現在イベントを計画中。お客さまはもちろん、作家さんや周りの方たちに喜んでもらえるようにと、深雪さんは常に人との関わりから、次々とワクワクすることを生み出しています。
yamagoyaの中、natureの漆喰の壁とは趣も異なり、名前の通りログハウスのような内装に
もともと陶器ブランドのBIRDS' WORDS(バーズワーズ)。ポスターやシルクスクリーンはここでも人気アイテム。通販と違いサイズ感や色合いを確かめられるから、実物を見られるのは実店舗ならでは
yamagoyaの中からはatelier natureの店内もガラス越しに見えるつくり。こちらも深雪さんのこだわり
人の温かさへの恩返し
日常から解放される空間を提供してくれるatelier nature。実は深雪さんご自身も、自宅で介護をする日々の中、自分と家族が笑顔になれるよう、できる範囲で何かできることを模索してはじめたお店です。だから営業日は曜日限定に。
「福祉施設の方から毎年お花をいただく機会があり、癒しと元気をもらいました。日常で少しでもほっとする時間は大切にしたいもの。今度は自分がその恩返しをできないかと思って」―。その思いからはじめたのがatelier natureのオリジナルショップバッグを制作し、売上で在宅療養される方やご家族に花束を贈るという活動です。「大きなこともできないし初めてのことで不安もいっぱい」という深雪さん。それでもその一歩を踏み出せたのは、愛情深い彼女だからこそできたことです。
紫陽花のデザインは*petit*choco*さんによるもの。しっかりとしたつくりのコットンバッグのカラーは3色で、普段使いにも丁度良いバッグです
売り場のディスプレイをこまめに替えたり、新着情報をInstagramで更新したり、お客さまに喜んだいただく努力をおしまない深雪さん。「どうやってフォロワーさんを増やしているかよく聞かれるのですが、ぜんぜんわからないんですよ」と謙虚に話しますが、投稿には雑貨の新着情報とともに温かい言葉も紡いであります。
手づくり雑貨は一期一会。クラフト作品は作家さんの思いが込められた作品です。その思いを大切にしているオーナーだからこそ、人々が集まってきます。atelier natureは日常に彩りを添えるお気に入りをご自宅用にはもちろん、「ありがとう」の気持ちを届けるプレゼント選びにぴったりな雑貨店。心癒される空間に、ぜひ足を運んでみてください。