やまがたをソウゾウするwebメディア

work

2022.07.07

若者が住みたいと思える山形へ
ITの力で社会を変えていく

株式会社メコム 代表取締役社長 安部弘行さん

かいぎさん
本社1階のテレワークセンターにて

本社1階のテレワークセンターにて

社会の変化に合わせ、より時代に即した事業を展開し、現在はITソリューション企業として業界をリードする株式会社メコム(以下、メコム)。地域貢献や子どもたちの育成など、ビジネス以外にも広く目を向けています。同社の取り組みや想いについて、代表取締役社長の安部弘行さんにお話を伺いました。

誰もがオンラインで仕事ができる環境を、山形に

山形市に本社を構え、山形県内の企業や自治体、学校などのIT化を広く手がけてきたメコム。2021年に創立75周年を迎えた同社は、このコロナ禍において新しい試みに乗り出しました。

「テレワークやオンライン会議ができる“テレワークセンター”を、2020年に本社1階に開設、無料開放しました。やはりまだ当時は、オンラインで仕事をする環境が整っていない企業がたくさんありましたので、かなり反響が大きかったですね。コロナ禍でもなんとか仕事ができる環境を無償で提供して、山形の経済を止めないようにしたかった」と安部さんは振り返ります。

テレワークセンターの一角(画像提供:メコム)

テレワークセンターの一角(画像提供:メコム)

「当初は、RPA(ロボットによる業務の自動化)を紹介するロボットセンターを開設する予定でしたが、コロナ禍で方針転換し、急遽テレワークセンターを開設することになったんです」と安部さん

「当初は、RPA(ロボットによる業務の自動化)を紹介するロボットセンターを開設する予定でしたが、コロナ禍で方針転換し、急遽テレワークセンターを開設することになったんです」と安部さん

メコムの創業は1946年。青写真焼き付け業から事務機器の販売、その後、IT主体へ舵を切り、1997年株式会社メコムへ。現在はパソコン、プリンター、スマートフォンなどのIT機器の販売や指導・メンテナンスのほか、ソフト開発やネットワーク構築などITに関わる幅広い業務を行っています。

安部さんは大学卒業後、キヤノンマーケティングジャパンでの社員経験を経て、2年後に山形へ戻り、父親が社長を務めるメコムへ。2002年に42歳の若さで社長に就任すると、仙台市、福島県いわき市への県外進出も果たすなど同社を力強く牽引してきました。

メコムの強みは「単にIT関連機器を販売するだけでなく、保守メンテナンスも含めたサービスにおいて、山形県内6拠点で県内全域をサポートできるところ」と安部さん。「“システムダウンの通報から60分以内の復旧”を目標に取り組んでいて、顧客管理システムで通報件数や復旧にかかった時間などをすべてデータ化。迅速な対応で顧客満足を追求しているところが一番の強みです」

持続可能な環境や教育のために。できることからSDGsを

山形市内の経済界のなかでも早くから環境経営に取り組んできたメコムでは、太陽光発電システム、LED照明機器などの環境商品を販売。2014年からはメガソーラー(大規模太陽光発電)事業にも参入。

このメガソーラー事業に着手するきっかけとなったのが、2011年3月11日の東日本大震災だったと言います。
「仙台市、いわき市の子会社が大きな被害を受け、あのときは会社がもうダメになるかと思いました。とてもショッキングな出来事で忘れることができません。特にいわき市の子会社が原子力発電所と隣接した地域にあり閉鎖を余儀なくされたことから、自然エネルギーへシフトしていくことも大事だと考えさせられましたね」

03.jpg 04.gif

愛称 ソーラーパーク『やっしょ まかしょ SUN・SUN・SUN』メコム山形松原太陽光発電所。愛称は山形市内の小学生の応募作品より。山形の夏のお祭り、花笠音頭の元気な“やっしょ まかしょ”の掛け声にちなんだもの。(画像提供:メコム)

75周年を迎えた2021年に「メコム×サスティナビリティ」としてSDGsの取り組み目標をまとめた同社。7月には「デジタルキッズITスクール」の開催を計画するなど、SDGsの活動にも意欲的です。

「小学生を対象にしたITスクールを夏休みに3回開催予定で、プログラミング体験、信号機作りや自動運転のキットカー工作などを企画しています。今後は、学校が終わった後に、当社の社員が子どもたちにIT教育ができるような“デジタル学童”に展開していけたらいいですね。そして将来、メコムのITスクールの卒業生が、世界的なYouTuberやプログラマーになる日が来たらうれしい」と期待をのぞかせます。

05.jpg

この夏、7月16日・23日・30日の3回にわたり開催される「デジタルキッズITスクール」。「子どもたちにITに触れてもらい、興味を持ってもらえたら」と安部さん(画像提供:メコム)※画像クリックでPDFを表示

社員一人ひとりの“ナンバーワン!”が、会社の大きな力に

2017年から行っているメコムのユニークな取り組みが“何でもナンバーワン”制度。社員の成長やスキルアップを目的とした人材育成の制度で、毎年、社員一人ひとりが自分で“取得したい資格や取組事項”を設定し、達成に向けて挑戦しています。

「メコムの社員125名、関連会社を含めると250名それぞれが、“私はこれがナンバーワン!”という強みを持てばものすごい力になりますよね」と安部さん。

資格試験では教材や受験料も会社で支援するという手厚さ。業務に直結する「情報セキュリティマネジメント」などの資格はもちろん、面白いところでは「ドローンパイロット操作技能資格」、「フォークリフト運転技能」、「働き方マスター」や「SDGsに関する資格」を自ら選んで取得している社員もいるとのこと。社員のやる気を全力でバックアップする姿勢に、同社の懐の深さを感じます。

“何でもナンバーワン”制度もあり、資格取得の取り組みにも積極的。情報セキュリティマネジメント45名、ITパスポート13名をはじめ、有資格者も多数。(画像提供:メコム)

“何でもナンバーワン”制度もあり、資格取得の取り組みにも積極的。情報セキュリティマネジメント45名、ITパスポート13名をはじめ、有資格者も多数。(画像提供:メコム)

若い人が、本当に住みたいと思えるまちへ

「DX(デジタルトランスフォーメーション=データやデジタル技術を駆使した業務改革)、AI、5G、カーボンニュートラルと社会が大きく変化するなかで、我々が持っているITの能力を発揮して、県内企業のDX化を進めていくことが、当社の一番の使命だと考えます」。そう今後の目標を語る安部さん。「労働人口の減少、生産性の悪さといった課題を解消し、日本が世界で戦っていくためには、DXやAIを活用していくことが不可欠」と強く訴えます。

就職活動者の大半が首都圏を希望するという現状。「地元に残る若者を増やしていきたい」と安部さん

就職活動者の大半が首都圏を希望するという現状。「地元に残る若者を増やしていきたい」と安部さん

そして、地域に対する想いも――。「若い人たちが住みたいという山形にしていくことが我々の年代の責任。自然の豊かさや美味しい食べものも山形の魅力の一つではあるけれども、それ以上に若い人が働いて、家庭を持って、暮らしていく上で“魅力的なまち”にしていかなければならない。それはやはり“スマートシティ”だと思うんです」

「病院がなくても家でオンライン診療が受けられる。学校に行けなくても家で授業が受けられる。免許がなくても自動運転でどこにでも行ける――そんな時代がもうすぐ来ることでしょう。山形をそういう“未来のまち”に早くしていくことが、若者世代の定住に向けた一番の近道ではないかと思います」

(写真提供:メコム)

(画像提供:メコム)

いまやオンラインでのビジネスや教育、診療などあらゆる場面で急速にオンライン化が進み、DXやAIといった技術がますます注目されています。そうしたなかで、メコムの果たす役割はさらに大きくなっていくことでしょう。安部さんが思い描くスマートシティのまち――。そんな山形の未来は、そう遠くないのかもしれません。



プロフィール
株式会社メコム 代表取締役社長 安部 弘行さん

1961年、山形市生まれ。山形県立山形南高等学校出身。駒沢大学卒業後、キヤノンマーケティングジャパンに入社。2年後に帰郷し、父親が社長を務めるメコムへ。2002年、42歳で社長に就任、宮城県、福島県に市場を広げ県外進出も実現させた。趣味は、ゴルフ、狩猟、養蜂、家庭菜園、バイク、スキューバダイビングと多彩。沖縄が大好きで「将来は沖縄と山形を行き来する暮らしをしたい」とも。

株式会社メコム

山形県山形市香澄町二丁目9番21号

https://www.mecom.jp/

勝負メシ ジビエ料理

山形市の有害駆除の責任者も務め、狩猟が趣味でもある安部さん。クマやイノシシを獲ってきて、自ら肉をさばくのだといいます。「クマ肉は超高級品ですし、イノシシ肉も本当に美味しい。以前はぼたん鍋を食べたくて、犬とライフルを飛行機に積んで、福井や和歌山までイノシシを獲りに行ったことも。ジビエ料理は自然のエネルギーをいただいている感じがしますね」

この記事を書いた人
そらいろかいぎさん

そらいろかいぎさん
Profile 山形会議のキュレーター。寒河江市出身。マイペースそうに見えるが、どうやら見えないところで人並に緊張しているポーカーフェイス。某ネズミのキャラに似ているとの声も。
山形会議をシェアしよう!
keyboard_arrow_up keyboard_arrow_up トップへ戻る