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モンテディオ山形のREAL

Montedio

2022.08.10

Vol.01 営業部が目指すもの

トップチーム事業本部営業部の髙崎翔平さん(左)と営業部長の横山成彦さん(右)

トップチーム事業本部営業部部長の横山成彦さん(右)と髙崎翔平さん(左)

地域と企業の課題解決に貢献できるクラブへ

株式会社化を経て、近年は続々と県内外の新規スポンサー(パートナー)を獲得しているモンテディオ山形。 全国と比較して決して経済規模が大きくない山形県にあって、さらにクラブを発展していこうとクラブ 一丸で取り組んでいます。
現在J2リーグで戦うモンテディオ山形の目標は、まずはJ1リーグへの昇格。しかし過去に2度の昇降格を経験してきたことから、まずはJ1に定着できるクラブづくりを進めていると営業部長の横山成彦さんは言います。

「私たちはJ1に昇格するだけでなく、しっかり定着して上位に食い込み、アジアを舞台に戦うクラブにしていくことを目標としています。そのためにはクラブの事業規模を大きくしていかなければいけません」

2021年度は過去最高となる18億4700万円の営業収益を達成したモンテディオですが、この数字はJ2でも中位程度、J1平均の半分にも届かないという厳しい現実があります。

「クラブとして上を目指すためには、チームはもちろんフロントもそのレベルを目指さなくてはなりません。いま私たちは、選手の年棒総額を8億円台に乗せるためにさまざまな取組みを推進しています。この数字が達成できれば事業規模でJ2上位に食い込むことができ、リーグ優勝・昇格も自然と見えてくるはずです」

そして営業活動では、昨年から実施している学生インターンも大きな助けになっていると横山さんは言います。

「学生インターンはクラブ営業部の公式ツイッターアカウントから募集しています。県内外のスポーツビジネスに関心のある学生からDMをもらい、面接を経てスポーツビジネスだけでなく、ビジネス力を養うことに関心がある学生を採用しています」

一般的なインターンは無償のことが多いですが、モンテディオ山形では有償インターンを導入。新規加入と卒業を繰り返しながら常時9名ほどのインターンが在籍しているのだとか。メンバーの大半が山形県外の学生で、Web上で顔を合わせるのが普通になっていると横山さんが続けます。

横山成彦さん

「インターンシップで取り組んでいることは主に3点で『営業アタック』はSDGsを大きなテーマに企業をリストアップし、各自で決めた月間目標の達成に取り組みます。『読書会』ではビジネスの本質に触れる課題図書から、自分が気になったこと、思ったことなどを言語化してプレゼン、コミュニケーションの練習にしています。また、クラブに対して集客・スポンサー獲得に結び付く『事業案の提案』も行っています。9人がチームに分かれ、学生たちで企画から実行までできるかチャレンジするものです」

「こういった取組みが実現できた背景には、まずはスポーツビジネスへの関心が高まっていることがありますね。学生と接点を持つことでクラブは新たなアイディアや着眼点を得られますし、クラブ組織の拡大と首都圏企業とのリード獲得にもなっています。より実務に近い仕事をしてもらうことで、近い私たちからはスポーツビジネスの現場を知る機会と、ビジネススキルや一般教養の向上を提供できていると思います。スポーツビジネスへの関心を入口にして、どんな会社や環境でも輝ける人材を育てていきたいですね」

そんな学生インターンをきっかけに、新たなユニフォームスポンサー契約の締結に至った例を髙崎さんが挙げます。

髙崎翔平さん

「今シーズンから新たに、株式会社スマートチェックアウト様をトップパートナーに迎えることができました。東京に拠点を置き『Pay Light』という歯科医院向けの決済サービスを提供している企業で、イベントブースへの出展ということで学生インターンがコンタクトしたことがきっかけでした。私たちが貢献できることはないかお話をすると、酒田市に世界的な予防歯科の先生がいらっしゃることから山形県に興味を持っていただいていて、私たちのホームタウン活動を通して両者を引き合わせることができたんです」

髙崎さんが振り返る予防歯科のイベントは、2021年11月に行われたホーム・東京ヴェルディ戦の試合前に実施したもの。イベントには前述した予防歯科の権威・熊谷医師も登壇し、予約枠がいっぱいになる大盛況でした。
この試合は惜しくも敗れてしまいましたが、それでも大きな拍手で選手たちを励ますファン・サポーターの姿に株式会社スマートチェックアウトの玉井代表取締役は感銘を受けたと語ったといいます。後日、玉井代表取締役とモンテディオ山形の相田社長は会談し「新スタジアム構想」「地域活性化」「交通弱者へ手を差し伸べたい」といった想いで意気投合。その後、髙崎さんがユニフォームスポンサーの提案を行い、その場で合意に至ったのだとか。

「株式会社スマートチェックアウト様は『社会のためになることを』というビジョンを掲げている企業でもあります。イベントブース出展の際にスタジアムで観戦し、サポーターの皆さんと作り上げるスタジアムの雰囲気に感動したと言っていただけました。サッカーを含めた私たちの活動の一つひとつが積み重なり、人と人とがつながるハブのような役割ができたことが嬉しかったです」

2022年4月10日、ホーム秋田戦の前に行われた予防歯科イベント

2022年4月10日、ホーム秋田戦の前に行われた予防歯科イベント

新規ユニフォーム鎖骨スポンサー締結式での一コマ。株式会社スマートチェックアウトの玉井雄介代表取締役兼社長

新規ユニフォーム鎖骨スポンサー締結式での一コマ。株式会社スマートチェックアウトの玉井雄介代表取締役(右)

コンテンツホルダーとして提供できるもの

ひとりの観客としてスタジアムを訪れた際にも、お祭りのような賑わいに心が躍り、パートナー企業の多彩さに驚かされます。パートナー企業は県内外を問わず600社以上にのぼり、今シーズンは全てのホームゲームで冠スポンサーを獲得しているのだとか。これも、サッカーだけではないモンテディオの魅力を作ってきた成果と横山さんが言います。

「3年前に比べてブルーキッチンへの出店は倍増しています。これまではサッカー観戦とスタジアムへの来場を紐づけて考えていましたが、近年は必ずしもサッカーを観戦しなくても楽しんでいただける場を目指して整備してきました。より多くの方に来場いただき“モンテディオ山形”の情報発信力が向上しています」

「もともと開幕前にボランティアで雪かきをしてくださったり、総合運動公園のゴミ拾いをしてくれる方がいたりと、SDGsへの意識が高いお客様が多いのも私たちの特長でした。山形は人口減少をはじめとするさまざまな社会課題の先進県だとも言われます。サッカークラブとして課題解決にどんな貢献ができるか示していければ、より求心力が増していくのではないでしょうか」

クラブもパートナー企業も、ファン・サポーターも共に進む“ヤマガタイチガン”。挑戦を続けるモンテディオ山形が目指す先は、ひとつのサッカークラブを超えた地方創生のあり方です。



プロフィール
株式会社モンテディオ山形

山形県天童市山王1-1
https://www.montedioyamagata.jp/
モンテディオ山形

この記事を書いた人
おはなかいぎさん

おはなかいぎさん
Profile かいぎさんの中でいちばん自然を愛するキュレーター。土いじりのほかに、筋トレや映画にも精通している。最近の悩みは「自宅の周りを縄張りとする野良猫たちとの距離感」。
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