やまがたをソウゾウするwebメディア

モンテディオ山形のREAL

Montedio

2022.10.14

Vol.03 1枚のチケットが持つ価値とは クラブと地域の好循環を目指すマーケティング

マーケティングチームの安永享祐さん(左)と山﨑蓮さん(右)

マーケティングチームの安永享祐さん(左)と山﨑蓮さん(右)

声出し応援解禁のゲームも増え、かつてのにぎわいを少しずつ取り戻しつつあるJリーグ。2022シーズンも終盤を迎えた第37節のジェフユナイテッド千葉戦、モンテディオ山形は今シーズンにおけるホームゲームで3番目の入場者数を達成しました。年に一度の祭典“ガールズデー”が開催されたこのホームゲームには、どんな裏側があったのでしょうか。マーケティングチームでチケット販売を担当するお二人に聞きました。

反省を糧に、プロジェクトを発足

モンテディオサポーター

「3月20日のホーム開幕・ベガルタ仙台戦は11,456人の観客動員を記録したものの、クラブ内の同試合における目標とする集客人数には届きませんでした。その後もクラブ全体でホームゲームごとにさまざまなイベントを企画・実施しましたが、試行錯誤が続きました。そんな中『ガールズデー』を開催した9月18日の第37節ジェフユナイテッド千葉戦は8,495人の集客を記録し、今シーズンの主催試合で3番目の動員を達成できました。女子大生にも参加してもらったプロジェクトでしたので、なおさらうれしかったです」

そう語る安永さんの言葉に、プロジェクトを主導した山﨑さんが続けます。

「『ガールズデー』は昨年も実施したイベントですが、正直なところ課題が多く残ったと思っているんです。その原因は、女性の方に来場いただきたいイベントなのに、男性が多いクラブスタッフで企画を進めてしまったことでした。そこで今回は、普段あまりサッカーに興味が無いという地元にゆかりのある女子大生のみなさんに企画段階から参加してもらいました」

7月にスタートしたプロジェクトでは『多世代の女性が楽しめる』をテーマにイベント内容や限定グッズを企画。「韓国料理フェス」や「スイーツフェス」、アイドルのコンサートで見られるような“応援うちわ”や選手の現在と幼少期の写真がセットになった缶バッジなど、これまで見られなかったユニークなグッズが生み出されました。

応援うちわ、缶バッジのほか、トートバッグやバルーンも企画・販売されました

応援うちわ、缶バッジのほか、トートバッグやバルーンも企画・販売されました

モンテを知らない女子大生が企画?

「プロジェクトに参加してくれた7人のうち、普段から試合を見ているという参加者はたった一人しかいませんでした。NDソフトスタジアム山形の所在地を知らなかった学生もいて、まだまだ認知度が足りないことを痛感しましたね。たくさんの気付きをもらえたプロジェクトになりました」

スタジアムへの集客という面だけでも“どんな人にどんな情報を届けるか”を大切にしているという山﨑さんは、そう言いながらプロジェクトを振り返ります。

「参加者のみなさんには、『まずは自分と友達がスタジアムに来たくなるような企画を』と呼び掛けながらプロジェクトを進めました。特にグッズの企画では、そんな発想があったのかと驚くものばかりです」

この日のためにデザインされたピンクのベースボールシャツをノベルティとして無料配布

この日のためにデザインされたピンクのベースボールシャツをノベルティとして無料配布

青空の下でのパークヨガ体験やオリジナルネイルなどのイベントも開催されました

青空の下でのパークヨガ体験やオリジナルネイルなどのイベントも開催されました

ホームゲーム毎に実施しているアンケートでも今回の来場者の反応は上々。「イベントが楽しかった」「グッズがかわいい」といったうれしい声が寄せられたと安永さんは言います。

「もちろんクラブも、フロントスタッフ全員が協力して実現できたホームゲームでした。プロジェクト参加者にはプレッシャーも大きかったと思います。ですがしっかりイベントを実現させて、来場者からの評価も良く、目標の来場者数も達成しました。しかもチームは勝ちましたから、私にとっても今シーズンで一番心に残った試合です」

地方のクラブが秘める可能性

照明設備を更新したことで実現したペンライトによる会場演出が秋の夜を彩りました

照明設備を更新したことで実現したペンライトによる会場演出が秋の夜を彩りました

いわば若者とのコラボレーションが成功した「ガールズデー」ですが、プロジェクトに参加した学生たちにとっても、仲間と協力し一つのことを成し遂げた経験は貴重なものになるはず。そこには単にチケットを販売するという以上の思いが乗っています。

「私自身、若い世代が活躍できる場を用意することはとても大事だと思っているんです。学生がリアルな社会体験をする場は限られていますから、そういう成功体験を自信につなげる場をクラブとしてつくれたことが喜ばしいです」

「私たちはサッカーを通したエンターテインメントを提供しています。それは生活するうえで必要不可欠なものとは言えません。ですが来場してくださった方々の笑顔を見ると、やっぱりスポーツは素晴らしいと思うんです。ですからサッカーを通して、単なるエンターテインメント以上のどんなものを提供できるのか、しっかり考えていきたいです」

そんな山﨑さんの言葉に、安永さんは続けます。

「山形だから、地方だからと、何かをあきらめる必要は全く無いと思うんです。山形にしかないものがありますし、山形の魅力を表現できるクラブでありたいと思っています。1枚のチケットを持った人に、その試合を待ち遠しく感じてもらえるような、心から楽しみにしてもらえるホームゲームをつくっていきます」

モンテディオ山形では、日頃の活動の成果が表れるのがチケットの販売数、つまり来場者数と捉えています。より大きな応援がクラブとチームを勇気づけ、クラブとチームの躍動が地域を元気づけていく好循環を目指し、モンテディオ山形マーケティングチームは前進しています。



プロフィール
株式会社モンテディオ山形

山形県天童市山王1-1
https://www.montedioyamagata.jp/
モンテディオ山形

この記事を書いた人
おはなかいぎさん

おはなかいぎさん
Profile かいぎさんの中でいちばん自然を愛するキュレーター。土いじりのほかに、筋トレや映画にも精通している。最近の悩みは「自宅の周りを縄張りとする野良猫たちとの距離感」。
山形会議をシェアしよう!
keyboard_arrow_up keyboard_arrow_up トップへ戻る