Montedio
2022.11.18
Vol.04 クラブ最大の財産は“選手たち” 常に次の一手を模索するMDチーム
Watanabe'sコラボ藍染Tシャツを着る奥山勇太さん(左)と、PenaltyハイスロングTシャツを着用してペンライトを持つ井苅将樹さん(右)。ホームゲーム会場に設営されたショップの前で
キャンプや家電グッズ、そして散水車に乗っている姿が話題を呼んだDF川井歩選手の記念グッズなど、今季は例年にも増してグッズ関係の話題で盛り上がったモンテディオ山形。オリジナルグッズの企画開発やスタジアム運営、そしてイベント運営にも携わる事業部MD(Merchandising=商品化)チームのお二人に、商品開発の裏側と目指す先についてお話を聞きました。
地域と連携して魅力発信
モンテディオ山形では県内での生産や消費にこだわった「made in YAMAGATA」シリーズを展開。米沢市の伝統工芸「米沢織」のストールや、キャンプグッズ、藍染Tシャツ、ホットシルクマスクなどを商品化しました。MDとして「山形には質の高いものづくりをする生産背景や人材が多く揃っていると思います。弊クラブの発信力もうまく掛け合わせてグッズという形で山形の魅力を県内外に発信し、地域活性化につなげていきたい」と力を込めます。
また同シリーズも含め、グッズを企画する際に重視していることの一つが「商品をいかに訴求していくか」。実際に選手に商品を着てもらい公式SNSで告知をしたり、ホームゲーム会場のグッズショップでサンプルを置いたりと、製品イメージを持ってもらいやすくする取り組みを日頃から欠かさずに行っているのだとか。他にも夏季限定ユニフォーム「ナツユニ」と藍染Tシャツを同じタイミングで発売するなど「トライ&エラーを繰り返しながら、適切なタイミングでお客さまへ常に新しい発見を提供できるよう」事業部全体で心掛けています。「山形県は市町村ごとにさまざまな名産があります。これからも継続して山形全体の『魅力』を伝えること」に注力していくそうです。
YAMGATA ICHIGANでグッズ開発
ショップにはさまざまな応援グッズなどが並びます
事業部部長代行であり広報マーケティング室チームリーダーでもある奥山勇太さんが続けます。
「私は既にこれまでの人生の半分以上をモンテディオ山形で過ごしています。近年はグッズやイベントなどにより投資できる環境が整ってきたので、今まで以上に新しいことにチャレンジできていると思います」
来場者へ先着でプレゼントする応援グッズや、公式グッズなどの商品バリエーションはますます充実。10.23ホーム最終戦で先着9,000名を対象に実施した「モフモフ中綿マフラー」プレゼントの企画から配布までを振り返ります。
企画に着手したのは8月頃。可能な限りマフラー単体のサイズを大きくすること、そして中綿のボリュームにこだわり、サンプルを受け取ってから色味を細かく調整するなどしたのだとか。デザイン決定から製造、実際に手元に届くまでタイトなスケジュールではありましたが、試合当日、お客様にお渡しすることができて安心したと言います。
さらに、公式グッズで今季最も反響を呼んだアイテムの一つが「ペンライト」だったようです。
今季ホーム最終戦である10.23徳島戦で無償配布された、中綿入りマフラーをPRするクラモフスキー監督(左)と配布の様子
2・3年ほど前からペンライトを使ったスタジアム演出をするクラブが増え、モンテディオ山形にも打診は届いていたようです。ですが、せっかくやるなら他のクラブではやっていないもの、よりお客様を楽しませられるものにしたいという「使命感に近い感情が芽生え」たのだと言います。
今季初めて販売されたペンライトは、赤外線通信によって光の色が変わる仕様。『夏祭りだモン!』がスタートした7.23ホーム群馬戦から本格導入され、そのホームゲーム以降、10月のホーム新潟戦・水戸戦を除いて、ホーム最終戦まで毎試合その特徴を生かしてスタジアム全体を盛り上げました。
およそ3,500本を売り上げたという“モンテディオペンライト”
この演出は赤外線の発信装置などコストがかかるため、入場者数がコロナ禍前の水準に戻ってきた今季だからこそ実現できたものでした。スタジアムの照明を落とした光の演出は、今季からピッチと客席を照らすスポットライトを導入。来場者からの好反応をクラブ内でも共有できたと2人は振り返ります。
夜空を彩ったペンライト。ひとつ一つの光に応援の気持ちが宿っています
非日常を届けるための飽くなき挑戦
MDの仕事の範囲はグッズ関係に留まりません。スタジアム運営は運営部と連携したり、マーケティングチームと共に集客施策や広報活動に力を尽くしたりと、まさにフロント一丸となってホームゲームの運営をしています。
2022年シーズン、モンテディオ山形は過去最高となる21億3400万円の売上見込を発表しました。ホームゲーム1試合平均の入場者数は6,451人で、J2では5番目に多い来場者を記録。スポンサー収入が前期比1億6,200万増、グッズ販売収入は同4,100万円増を見込むなど、これらの成果が売上を支えたと発表されました。
「“ペンライト”が成功だったと言っていただけると嬉しいですが、私たちは常に次の企画を練っています。クラブの最大の財産は選手たちだと思うので、単にモノを作るというだけに留まらず、どうすれば商品の価値を高められるかを考え続けていきたいですね」
奥山さんのそんな言葉に促されて、井苅さんが言います。
「山形県は自然豊かで、全国に誇れる観光地や名産、食材などが数多くあります。そこに拠点を置くモンテディオ山形の魅力をさまざまな角度から提供し、ホームゲームに来場するきっかけを今後も作っていけたらと考えています。そして私自身、何事も楽しむ気持ちを持ちながら、常にチャレンジ精神を持ち続けて職務に励みます」
県内唯一のプロサッカークラブであるモンテディオ山形。今後ますます地域の魅力を発信するとともに、山形で暮らす全ての人に夢を与える役割も期待されます。
プロフィール
株式会社モンテディオ山形