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2021.07.30夢と勢いと支援でつくられたかみのやま温泉駅の癒やしスポット
harappa soba&cafe
かみのやま温泉駅からすぐに、そばとカフェを楽しめるharappa soba&cafeが2021年5月にグランドオープンしました。空き店舗利用を推進するNPO法人かみのやまランドバンクの協力により、改装やクラウドファンディングを行ってリノベーションされたお店です。
落ち着いた色合いの外観には、東北芸術工科大学OBで建築家の須藤修氏デザインの可愛らしいロゴが掲げられます
“みんな”でつくったナチュラルでとても居心地のいい空間
harappaは、お昼にはおそば屋さんとして、そのあと夜まではカフェとして、お二人の店主さんが営業しています。そばタイムは11:00~14:00、カフェタイムは14:30~22:00。店内に入るとふわっと香る木の香り。カウンターには上山産の杉を使い、明るい雰囲気です。テーブルや椅子も同系色のナチュラルな物でそろえられ、壁の珪藻土や観葉植物でつくられた空間はいつまでも居たくなる優しさであふれています。
元々は観光客向けのお土産物屋さんだった店舗。この内装も、かみのやまランドバンクの仲介で山形大学 工学部 建築・デザイン学科の学生たちを中心に、店主の2人も自ら作業をしてつくり上げたものです。自分たちで手作りした店舗は愛着も湧くことでしょう。コストダウンにもなり一石二鳥。協力をしてくれた人たちとの絆も生まれ一石三鳥というところかもしれません。
上山杉を使用したカウンターが落ち着いた空間によく馴染んでいます
孫と上山と自分の夢のためにおそば屋さんをオープン
そばタイム店主の中島いづみさんは、嫁いだ娘さん3人が上山市在住。何度も遊びに来るうちに上山の町が大好きになってしまったそうです。シャッターが閉まっている店が増えていくことに寂しさを感じていたところ、かみのやまランドバンクの開業支援プランを知り、居ても立ってもいられなくなり開業を決意しました。
いづみさんは山形に引っ越してくる30年前、そば打ち教室に2年通っていました。趣味で始めましたが、どんどんとそば打ちの楽しさにのめり込んでいったそうです。5、6年前の舟形町のイベントで300人におそばを振る舞い、仲間で協力してみんなにそばを食べてもらったことが楽しかったそうです。年末には6人のお孫さんたちと一緒に年越しそばを打つのが恒例行事で、そば打ちは楽しい思い出ばっかりだと語っていました。友人にも「いつかおそば屋さんやってみたらいいじゃない」と言われて、おそば屋さんになるのが夢だったそうです。「孫のためにも上山の活性化に貢献したい」。いづみさんは目を細めてそう言います。
harappaをオープンするにあたって、大好きなおそば屋さんに通って味の調合を研究したそうです。「こんなシンプルな材料で、調味料も同じなのになんで店によって味が違うんだろうと思って、業者さんに名店の材料をこっそり聞いて試作をしています。手打ちそばは奥が深く水加減によって毎日味が変わるんですよ。 “あ、今日はうまく行ったな”っていう瞬間が嬉しいんです。まだまだ未熟ですが、おいしいそばを食べていただけるように想いを込めて打っています。上山産の素材もたっぷりと使い、上山ならではのそばになるようメニュー開発などもたくさんの方々に支えていただいて行っています」。そう話すいづみさんはとてもうれしそうです。
そばタイム看板メニューの上山バジルそば(950円)。えび・アボカド・ふわとろ卵・トマト・レモン・かいわれのトッピングがされた手打ちそばに、上山産バジルのコクのある付けダレとピッタリ合います。焼きたてのプリプリえびが自慢の逸品です
「肉そば」「肉中華」(温・冷)(780円)。そばと鶏だし汁または中華麺と鶏だし中華スープの組み合わせ。さらに温・冷どちらも選べます。歯ごたえのある親鶏との相性バッチリで、鶏だしの甘みが麺のうまさを引き立てます
せっかくのチャンスだしカフェやってみっかな
カフェタイムの店主は齋藤貴将(さいとう・たかのぶ)さん。甘いものが好きで趣味でコンビニスイーツやスイーツパスポートを創刊時から愛用するスイーツ巡りが好きなスイーツ男子です。でもお店を開くまでスイーツは作ったことがなかったそうです。
カフェを開業したのはなんと『勢い』とのこと。いづみさんの娘さんと会社の同僚だった貴将さんの趣味はキャンプ。会社の仲間と家族同伴可能のキャンプでいづみさんと出会ったそうです。その後何度かいづみさんと顔を合わせることに。会社をやめ就職活動をしていた時、いづみさんから“一緒にお店をやろう”とラブコールを受けました。最初はあまり気にとめてなかったそうですが、希望していた就職先に落ちてしまった時に「チャンスだしせっかくだからカフェやろっかな」と思い立ち、いづみさんの誘いに応じることに。飲食店をやりたくて会社を辞めたわけではなく、軽い感じでカフェを始めたんだそうです。
毎日変わらない会社勤めからの大転身を遂げた貴将さん。harappaで働いて満足していますか?と聞くと「夜10時までの営業は疲れるけれど、自分の自由にできるのが楽しい」と答えました。カフェタイムのコンセプトは「マンネリに終止符を」だそうです。
「粉を混ぜて焼いたふつうのパンケーキじゃおもしゃぐねぇ。メニュー開発をがんばって、いい意味のショックを与えることがしたい」。ここじゃないと味わえない新しく珍しいものを考えて試食を繰り返しているそうです。
クレープシュゼット(1,050円)はホテルでしか食べられないような県内でも珍しいスイーツ。オレンジのリキュールを使った大人なソースにアイスの乗ったクレープが浸っています。ハーフサイズ(750円)もあります
スフレパンケーキ(880円~)はプレーン・抹茶・ミックスベリー・バナナ・アップルシナモン・フルーツミックスの6種類。パンケーキとはひと味違ったふわふわ食感と、自家製ソースを合わせたいろいろな味が楽しめます[写真は抹茶]
【学生会議】癒しとお腹いっぱいを同時に味わえる空間で会議をしよう!
カフェタイムでは幼児~高校生平日限定で、スフレパンケーキ1枚に生クリームとメイプルシロップ、ドリンクがセットになった『ふたばセット』(500円)もあります。対象を大学生まで広げてほしいです!(切望)メニュー開発に余念がない貴将さんは、今後食事もできるようにしていくために日夜努力中だそうで、こちらも楽しみです。おそばメニューもヘルシーでボリュームたっぷり。まだ食べていないメニューもとても気になります。
harappaの名前は、キャンプ好きのいづみさんと貴将さんが出会い意気投合した話をデザイナーさんが聞いて一緒に考え命名したのだとか。みんなが集まる自然の原っぱ。店主のお二人のお人柄もあってとても優しい空間です。この空間でエネルギーを注入しながら、たくさんの学生会議ができたらいいなと思います。
ちょっと離れて立つ照れ屋のカフェ店主貴将さん(左)元気いっぱいのそば店主いづみさん(中央左)食べる気満々のライター斎藤(中央右)2人の店主のキューピッドいづみさんの娘さん(右)※撮影は2021年3月せと藤シェアスペース「MESARA(メサラ)」にて