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2021.11.01がくせいかいぎさん達のモグモグご褒美
~山形テイクアウトグルメ編1~
『学生視点』を大切に、いつもストイックに取材と編集に取り組んでいるがくせいかいぎさん達。「たまには『学生らしく』力を抜いて楽しめばいいよ」。と、大人のかいぎさん達にご褒美をもらいました。「それでは」と、今回はコロナ禍でもおいしく本格的な味を楽しめるテイクアウトグルメを特集することに。お店の方々にとっての『ご褒美』も伺いながら、西置賜の上の方、白鷹町と長井市のお店4店を巡りました。
斎藤麩屋[長井市]
長井市の中心部から5分ほど車を走らせて、静かで落ち着いたところにありました。のぼりを見てお麩屋さんだとわかります
丁寧に取材を受けてくださった斎藤さん。「私も同じ斎藤です!」と言ったら温かく微笑んでくれました
大正15年に開業して、今年で創業96年(*取材時2021年9月)の斎藤製麩所。これまでは焼麩を地元の商店やスーパーに卸していました。ですが麩業界が衰退していく一方で、麩をもっと知って欲しいという思いが強くなっていったという4代目の斎藤大介さん。金沢に修行に行った際に初めて食べて感動した生麩の美味しさをたくさんの人に知ってほしくて、2021年7月21日に敷地内に麩専門店「斎藤麩屋」をオープンしました。
授業の課題の合間におやつタイム。作業しているとちょっと小腹が空いて甘いものが食べたくなりますよね。がんばった課題後のまさに『ご褒美』です
左から、小倉、みたらし、だだちゃの白玉生麩です。3種類の味それぞれの良さがあってどれも美味しい♡
今回テイクアウトした「白玉生麩」は、見た目はお団子だけど、普通のお団子よりもあっさりとしていて歯切れが良いのが特徴。
1カップに5つ入っていて小腹にちょうどいいサイズ感です。生麩で作った花麩も添えていて、季節によって変わっているとか。小倉はほんわり甘くて小豆の風味がいいつぶあん、みたらしはとろ〜り歯切れの良い白玉生麩と絡んで優しい味、だだちゃは豆の香りと味がしっかり、でした。歯が弱い私の祖父も味見をしましたが、歯切れの良さととろんとした食感を大絶賛していました。課題や仕事の合間につるんと食べられる、お手頃なお菓子です。
現在、斎藤さんは生麩の良さをさらに伝えるために新メニューを開発中。生麩だけではなく焼麩のお惣菜などにもチャレンジ中だそう。店内でいただけるお茶にもこだわりが。「加賀棒茶」という茶の茎の部分を焙煎したほうじ茶で、とても芳ばしく爽やかな味でおいしかったです。SNS映えを狙った綺麗な盛り付けもウリで、SNSがきっかけで遠くから若い年代のお客様が来てくれているそう。和風で柔らかな木目を基調とした店内は、とても綺麗でシンプル。「ふ〜」と一息つける落ち着いた雰囲気です。
オーナーの斎藤さんの自分へのご褒美は、おいしいものを食べること。最近はマリトッツォにはまっているそうです。ラーメンが好きなので辛みそラーメンを食べに行くこともご褒美の1つなのだとか。
イタリア料理 SIATTCA(シャッタカ)[白鷹町]
イタリアを思わせる風貌でおしゃれな雰囲気の外装。これはもう“白鷹町にあるイタリア”です
地元が同じ白鷹ということで、店主の安達稔さんと取材中話が弾み、厨房を覗かせてもらえることに。バターと栗のいい香り…♡
できたて白鷹産栗のチーズソースパスタ。ほくほくの栗と濃厚なクリームが相性バツグンです
帰宅する時もずっといい匂いがしていて、我慢できずまだ温かいうちに頬張りました
両親が白鷹町で農家を営んでいて、リンゴ、ラ・フランス、あけびなどを栽培していると話す店主の安達さん。東北公益文化大学の1期生として勉強した後、洋菓子店とイタリア料理店で修業したのちイタリアでの修行を経て、地元の食材を使った料理を提供したいと2012年に開業しました。イタリア料理を志したのは、大学時代に鶴岡のイタリア料理店アルケッチァーノで食事して奥田シェフと出会ったのがきっかけだそうです(のちに修行したイタリア料理店はこのお店です)
この日は、白鷹産栗のパスタを頼んで自宅で食べました。出来立てを詰めてもらえるのでアツアツほくほくのバターのいい香りがしていました。夜な夜な栗を剥いているとおっしゃっていた安達さんの言葉を思い出しながら食べました。香ばしい栗の風味とクリームが絡んでめちゃくちゃ美味しかったです。
この他のテイクアウトは、地元の食材にこだわって作ってピザ・パスタ・オードブルなど。ピザは前日まで予約が必要で、生地を発酵させて石窯で焼いています。
よく見ると、お店の中や外に、安達さんの思いが詰まったいろんな装飾がありました。イタリアに行った時の写真やポスターがあったり、お手洗いにメダカが泳いでいたり、たまにはウサギに会えたりします。芸工大の卒業生が制作したという数々の作品が展示されていて、お食事のみならずその空間も楽しむことができますよ。
安達さんのご褒美は、何といってもお客様からの「美味しかったよ」の一言。ご自身がおいしいものを食べるのも好きで、あとは『原神』や『モンハン』などのゲームに興じる時間も至福の時。時間のある時には木材を使って身の回りのものを作ることもあるそうで、お店にあるクルミとクワの木で山登り用の杖を作ったのだとか。
玄関に飾られている木彫りの作品は、彫り師に発注して一枚の板から作られたこだわりの作品でした。おしゃれで異国感もありながら親しみの持てるお店です。
Retreat plus (リトリートプラス)[長井市](の山の中)
長井市の中心部を過ぎてもお店には到着せず、少し不安になりながらトンネルを抜けた先にお店を発見しました
建物の中に入るとおしゃれなイラストの描かれてあるコーナーを発見!やっと見つけたという謎の達成感が味わえました
ショーケースに残っていた2種類にしました。左はさつまいものタルト、右は季節のフルーツタルト
大自然の中でSNS映え間違いなしの写真が撮れます
長井市本町で経営する「Dining Bar Retreat」の分店として2021年7月7日にオープンしたスイーツショップ「Retreat plus (リトリートプラス)」。きっかけは、長井市役所による「長井ダム展望所施設内の利活用」の公募に対して、オーナーの牛沢晴也さんが応募したことでした。国土交通省の建物ゆえ、あまり自由にはできないけれど、本当はイートインスペースなどいろいろやりことがあるそう。「せっかくの眺めのいいところで美味しくておしゃれなスイーツを頬張れたら最高だと思う」。と牛沢さん。
今回は、平日限定のさつまいものタルトと季節のフルーツタルト、モクテル『杏仁香るいちごミルク』をいただきました。フルーツタルトに使用する食材は、牛沢さんの奥さまが地元産のものにこだわりセレクト。生地も手作りしています。モクテルは、バーテンダーでもある牛沢さんが工夫を凝らして作っています。
見た目が可愛くてまさに“映え”。写真をたくさん撮ってしまいたくなります。持ってみるとズッシリ具沢山なのがわかります。さつまいもはいも自体の優しい甘さと、とろんとした食感で満たされるぅ〜。季節のフルーツは地元産の梨、りんご、ぶどうがこれでもか!とパイ生地のタルトの上に乗ってシャキシャキ、フルーティーです。口の中が果樹園になってしまいます。(それくらいフルーティー)
『杏仁香るいちごミルク』は、ボトルの下にいちごのソースが入っていて振って飲みます。ボトルを開けるとほんわり杏仁の良い香り。あっさりしたミルクの風味が美味しくて、ついゴクゴクあっという間に飲んでしまいそうになります。大自然をバックにして写真を撮るとかなり映えてテンション上がること間違いなしです。
牛沢さんはお酒を飲むことも好きなので、仕事してお金を稼いで飲みに行くことが『ご褒美』だそうです。
白鷹ヤナ公園 あゆ茶屋[白鷹町]
白鷹町で超有名な観光スポットのあゆ茶屋です
鮎の塩焼きは炭火でじっくり焼かれています。こうして写真を撮ると迫力がありますね。どれもヤナ場で捕れた天然の鮎です
あゆ茶屋名物の豆腐田楽。トロッと満遍なくついたタレが美味しいんです
かつて白鷹町に3ヶ所あった鮎の漁場である『梁(やな)』。1984年に、途絶えてしまっていた梁を復活させる有志が集まって、その後道の駅となり県内外の観光客が訪れるスポットになりました。
今回いただいたのは鮎の塩焼きと、あゆ茶屋名物『豆腐田楽』。白鷹町出身の私は、毎年秋になると恋しくなってしまうほど、これらの虜です。鮎の頭としっぽを持ってほわほわの身にかぶりつくと、天然の苔を食べて立派に育っている鮎の豊かな香りが鼻を通り、おいしさが広がっていくようです。豆腐田楽はあまじょっぱくてみりんのいい香りがします。タイミングよくアツアツ出来立てをいただけました。賞味期限はなんとたったの1時間だそう。幼い頃、この豆腐田楽が大好きすぎて、1人で家族全員分食べてしまったこともあったほど。そんなことを思い出しながら食べました。(笑)ふわふわの豆腐に香ばしいタレが絡んで、いつ食べても美味しく懐かしい味です。
代表の樋口和貴さんの『ご褒美』は鮎がかかった時。漁の時期ではなくても1年中鮎のことで頭がいっぱいだそうです。