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2022.07.26

すべては人々の健康と笑顔のために。2代目女会長の信念と決意

家庭健康管理研究会会長 松浦優子さん(株式会社ダイシン代表取締役)

かいぎさん
山形市篭田にある家庭健康管理研究会本部の玄関前にて。小さな事務所から始まった同研究会は、今や広島から北海道まで全国17の拠点を持つまでに

山形市篭田にある家庭健康管理研究会本部の玄関前にて。小さな事務所から始まった同研究会は、今や広島から北海道まで全国17の拠点を持つまでに

「生活習慣病」という言葉が広く知られるようになったのは1990年代後半のこと。そのずっと以前から家庭での健康管理の大切さに着目し、地道に活動してきた団体があります。1977年に発足した家庭健康管理研究会です。2007年、45歳という若さで会長に就任した松浦優子さん。容易ではなかった現在までの道のりと、これからの目標についてお話を伺いました。

食の改善で病気を予防する学問、分子矯正医学

「マクガバン・レポート」というものをご存じでしょうか。1977年、アメリカの上院議員だったマクガバン氏が、国民の食生活を5年間にわたって調査した報告書のことです。心臓病が多発し、国の医療費がパンク寸前だったアメリカ。なぜ心臓病が減らないのか、徹底的に調査した結果、肉食中心の食事が原因であることが判明しました。アメリカは国をあげて食生活の改善活動に取り組み、次第に心疾患率を下げていきます。
「マクガバン・レポートがきっかけで誕生したのが、“分子矯正医学”です」と松浦さん。分子矯正医学とは、身体を構成する約60兆個の細胞のはたらきを向上させ、様々な病気の回復や予防を目指す学問のこと。日々の食事と生活習慣を改善し、不足している栄養素を補うことで、病気の予防や症状の改善につなげるという考えです。この学問を広く伝えようと1977年に発足したのが家庭健康管理研究会。創始者は、初代会長であり、松浦さんの夫の笹原晴一さん。「知識がないと健康は守れない」「健康維持の鍵は家庭から」という信念のもと、補助食品や医療機器などを開発。製造元は、同じく晴一さんが立ち上げた株式会社ダイシン。この二つの組織と企業が連携をとり、運営を行っています。

初代会長の笹原晴一さん(享年66歳・写真左)が唱えた「理念」と「健康五訓」。発足精神として会員に受け継がれています

初代会長の笹原晴一さん(享年66歳・写真左)が唱えた「理念」と「健康五訓」。発足精神として会員に受け継がれています

23歳で一念発起、秋田から山形まで勉強に通う日々

松浦さんが家庭健康管理研究会と出会ったのは、秋田県で家業の金物屋の手伝いをしていた23歳の頃。腰痛に苦しむ父親の治療法を探していた時でした。
「父は病院が嫌いで。整体に通ったり、家庭で使える治療器具を試したりしていましたが、なかなか良くならない。そんな時に本会との出会いがありました」
父親の腰痛が良くなり、健康について学んでいく中で「お医者さんは病気を診断し治療はしてくれるけど、健康にはしてくれない。自分で病気にならない体をつくるしかないのでは」と思うように。小さい時から好き嫌いが激しく、自覚症状がないながらも高校生の頃「慢性腎炎」と診断され「もう治らない」と宣告された経験がある松浦さん。医療に対し疑問や限界を感じていたのかもしれません。住んでいた秋田から電車で本部のある山形に通い、研修や勉強を重ね、どんどん知識を吸収していきます。
「本会には、一般会員と指導会員の2種類があります。一般会員は健康について相談をしたり、教材(商品のこと)を購入し、それを使いながら健康維持回復に努めます。指導会員は知識を会員や多くの人に伝える立場にあり、教材(商品)の販売も行います」
松浦さんはすぐに指導会員となり、栄養学や筋肉学の知識を深めながら、さまざまな資格も取得し、本部でも一目おかれる存在となっていきました。

26歳の頃の松浦さん。指導会員として、栄養学の講師を担当していました(1987年)。「指導会員は、本会の試験に合格すると“健康管理士”という称号が与えられます」

26歳の頃の松浦さん。指導会員として、栄養学の講師を担当していました(1987年)。「指導会員は、本会の試験に合格すると“健康管理士”という称号が与えられます」

「会員制」に込めた家庭健康管理研究会の信念

指導会員になる、ということは、商品を仕入れて販売する「自営業者」になる、ということ。「本会の考え方、ノウハウをもとに指導会員は仕事をします。会員制であるのは、会員の方が知識を持つための指導を受け、必要なものを自分で判断した上で、教材(商品)を使用して欲しいから。ただ買っていただければいい、と考えているわけではないからです」と松浦さん。「指導会員の立場で、もっと売らなければ、などと考えると必ず壁にぶつかるし、活動の本来の目的から反れてしまいます。また、絶対治る、などと表現することも許されません。法律を順守して事業を行っていかなくてはならないのです」と続けます。
「本会の中で一番大切にしていることは、“相手が望んでいることは何だろう”と寄り添う努力をすること。そして少しでもいいから“世の中の役に立つ”ことは何かを考えること」。創設者の晴一さんが唱えた家庭健康管理研究会の発足精神は、会員全員が共鳴し、大切にしています。

北陸へ研修に行った時の様子(2005年6月)。写真中央が笹原晴一さんで、写真右端にいるのが松浦さん。「先代は、みんなに慕われていました」と振り返ります

北陸へ研修に行った時の様子(2005年6月)。写真中央が笹原晴一さんで、写真右端にいるのが松浦さん。「先代は、みんなに慕われていました」と振り返ります

夫との死別、そして45歳で会長、社長に就任

全国を飛び回り、多忙な日々を過ごす中、晴一さんは2006年、66歳という若さでこの世を去ります。原因は大腸がんでした。
「病気は自覚していたのですが、体の知識があり過ぎて、過信したんですよね。病院に行く時期が遅かったのを先代はずっと後悔していました」
それでも驚くほどの回復を幾度も見せた、と振り返ります。帰らぬ人とはなってしまいましたが、松浦さんが晴一さんと共に歩んできた道のりは長く「生き方も考え方も、すべて先代から教わった」と言います。45歳で会長、社長に就任することになった時は「先代の想いと、組織の活動をつなぐ継承者」という使命感を抱きました。会報紙を作ったり、商品の開発や改良に努めたりと、家庭健康管理研究会を発展させる活動に力を注いでいきます。

“理事会メンバーとの記念写真(写真中央が松浦さん)。2007年、理事会で新会長として承認され、3月の年次大会で可決されました

理事会メンバーとの記念写真(写真中央が松浦さん)。2007年、理事会で新会長として承認され、3月の年次大会で可決されました

本当に体に良いものだけをつくり続ける

「健康補助食品を化学物質でつくることはできますが、体に作用する割合は少ないです。合成しているため肝臓に負担がかかってしまう。自然由来のものが、人間の体に一番受け入れやすいんです」
家庭健康管理研究会が取り扱う健康補助食品は、食物から抽出したもの、あるいは天然由来のものだけを主原料にすることが必須条件。さらに、他社にはないオリジナルレシピでつくられています。ゲルマニウムを使用した医療機器、シモン芋の葉や茎からつくった健康補助食品など、ジャンルは多岐にわたります。「価格帯は決して安くないけれども、会員さんが安心して使用してくれます」と松浦さん。
「流行で消えるものはつくりません。会員さんの体に必要なものだから開発するし、絶対に無くさない。半永久的につくり続ける、という信念で取り組んでいます」

家庭健康管理研究会が取り扱う商品の一例。一般医療機器から健康補助食品、化粧品、土壌改良剤など多岐にわたります。開発・製造を手掛けるのが株式会社ダイシン

家庭健康管理研究会が取り扱う商品の一例。一般医療機器から健康補助食品、化粧品、土壌改良剤など多岐にわたります。開発・製造を手掛けるのが株式会社ダイシン

目標は、みんなが健康を維持できるようになること

「テレビでいろんな健康食品の宣伝をやっていますが、一つの栄養だけを摂取して体が良くなるなんてことはありません」
食生活が乱れていると、補助食品をいくら摂取しても「感じるほどの効果は現れません」と松浦さん。生活を整え、必要なものが的確に入ってくると自然治癒力が高まり、免疫力も高まると言います。
「日本の医療や保険制度がしっかりしているので、みんな医療頼みで自己管理の意識が低いんです。お医者さんに行けば治してくれると思っていますから」
現在、日本の国民医療費は44兆3,895億円(2019年度)。高齢化が進む中、今後も増加することが懸念されています。「自己負担率がもっと増えたり、全額自己負担、なんて日が来るかもしれない」と松浦さん。
「自分に何が必要か、知識を持って、みんなが自分で健康を維持できるようになって欲しい。そういう人を一人でも多く増やしたいと思っています」
アメリカでは1992年以降、心臓病やがんの死亡率が減少しているそうです。一方日本では、食の欧米化が進み、がんの死亡率は減るどころか増えているとのこと。国でも「健康日本21」をはじめ、生活習慣病を予防する取り組みを行っており、コロナ禍以降は、食に対する健康志向も上昇しています。自分のためにも、未来のためにも、「健康を維持するために何が必要か」考えなければ、と感じました。

「草の根的にやってきた地道な活動でしたが、国も取り組んでいることですから、益々自信を持っていきたい」と松浦さん

「草の根的にやってきた地道な活動でしたが、国も取り組んでいることですから、益々自信を持っていきたい」と松浦さん



プロフィール
家庭健康管理研究会会長 松浦優子さん(株式会社ダイシン代表取締役)

1961年生まれ、秋田県出身。23歳の時に家庭健康管理研究会に入会し、指導会員として研修会の講師や一般会員への健康指導にあたる。秋田事務局長を経て2007年家庭健康管理研究会会長、株式会社ダイシン代表取締役に就任(会長職は旧姓・松浦のままで務める)。学生時代はバスケットボールに熱中し「糖分や脂質ばかりとるバランスの悪い食事を繰り返していた(笑)」とのこと。現在は週に2回程度ジムに通い、定期的に体を動かす努力をしているそう。

家庭健康管理研究会(株式会社ダイシン)

山形県山形市篭田1-4-19

https://www.kenkou1977.jp/
家庭健康管理研究会

勝負メシ 家族で囲む夕飯

松浦さんは、息子さん夫婦と3人のお孫さんの6人家族。出張で家を留守にすることも多いですが、自宅にいる時は手料理で家族を喜ばせます。「旬の食材の天ぷらや魚の煮つけもよく作ります。でも、リクエストが多いのは鶏の唐揚げや餃子、春巻」。みんなで食卓を囲む時間が何よりの元気の源なのだとか。

この記事を書いた人
おれんじかいぎさん

おれんじかいぎさん
Profile 山形会議のキュレーター。長井市出身。「包丁を研いだら、切れ味がよくなった」など、日常の幸せを見つけることが得意。頼れるお姉さんとしていつもニコニコ見守ってくれる。
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