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2025.03.26

精密部品加工に、クリエイティブな発想を

株式会社遠藤製作所代表取締役社長遠藤 聡 さん

かいぎさん
遠藤製作所を語るうえで外せない「1台のベンチ」と遠藤社長

遠藤製作所を語るうえで外せない「1台のベンチ」と遠藤社長

山形市内に本社工場を含む3工場、そしてベトナムに現地法人としての工場を構える株式会社遠藤製作所。 1949年の創業以来ものづくり企業としての進化と発展を続ける同社の原動力は何なのか、4代目代表取締役社長の遠藤聡さんにお聞きしました。

異業種からの社長就任

株式会社遠藤製作所は、鋳物のまちとして知られる山形市銅町で1949年に創業し、当時は主にモーターカバーの機械加工を行っていました。 その後、マシニングセンタへの取組みを本格化させながら、2006年には事業拡大を伴って本社工場を山形市立谷川に移転。ちょうどこの頃に代表取締役社長に就任した遠藤聡さんは、当時を振り返ります。
「当社は祖父が創業した会社ですが、私はそれまで建築業界で設計の仕事に携わっていたため、全くの畑違いの状態でした。そこで新鮮な目線で当社を見つめ直すと、世間とのずれのようなものが気になるようになっていきました。」
ものづくりへ真摯に取り組む姿勢は、時に企業としての硬直を招いてしまうもの。デザインの世界に身を置いていた遠藤さんは同社の将来を見据え、「クリエイティブであること」を社風に加えるべく奮闘を続けてきたと言います。

数種類あるユニフォームの全てに『THE CREATIVE CREW』の文字

数種類あるユニフォームの全てに『THE CREATIVE CREW』の文字

「我々のような製造業は、工場の規模感がそのまま事業の可能性となる側面があると考えています。そのため、現在の場所へ移転すると同時に本社工場を拡大させました。 この移転は大きなターニングポイントだったと今でも思います。それから企業のロゴマークも一新しました。それまでは漢字だったり英字だったり、ユニフォームを注文するたびに違うものを使っているような状態だったのです。」
『THE CREATIVE CREW』という言葉が加わった新しいロゴに込められたのは、常に創造的な仕事に取り組む会社でありたいというビジョンへの思い。そのメッセージは対外的な発信であると同時に、社内に向けた意思表明でもありました。

第3工場の入り口に掲げられたロゴマークは、製作加工の様子をホームページでも公開中

第3工場の入り口に掲げられたロゴマークは、製作加工の様子をホームページでも公開中

「当社のホームページにも載せているエピソードなのですが、かつての当社は従業員の休憩用として一つのベンチを購入するのにも反対意見が上がるくらい保守的な雰囲気でした。 ですが床に座るよりベンチに座った方が良いに決まっているじゃないですか。精密部品加工という社業については素晴らしいスペシャリストが揃っている状態に、足りないものを補ってきたのが私の代表としての仕事だったように思います。」

ものづくり&ひとづくりで深める強み

遠藤さんが代表へ就任すると、株式会社遠藤製作所は移転した本社工場に加え第2・第3工場を新設。さらにベトナムに現地法人を設立し、今ではグループ全体で300名以上の従業員が働く企業へと成長を遂げています。

業務用インクジェットプリンターのヘッド部品などの高精度量産品を得意とする本社工場(写真提供:株式会社遠藤製作所)

業務用インクジェットプリンターのヘッド部品などの高精度量産品を得意とする本社工場(写真提供:株式会社遠藤製作所)

およそ300名が働くベトナム工場に量産体制の移管が進んでいます(写真提供:株式会社遠藤製作所)

およそ300名が働くベトナム工場に量産体制の移管が進んでいます(写真提供:株式会社遠藤製作所)

「量産品に対応する本社工場に加え、多品種対応の第2・第3工場、そして低コスト化と海外市場への拡販を担うベトナム工場と、それぞれの拠点で当社が掲げる『三位一体』の生産体制を実現してきました。 特に第3工場はラボという位置づけで、突拍子もないことに取り組む場所としています。これまでの常識では不可能だった短納期への挑戦をはじめとする、工場や事務所としての在りようそのものを見直す場所です。 たとえば緑色が当たり前だった工場の床を、この第3工場では真っ白にしてみました。そうすると工場内がぐっと明るくなり、見学にいらっしゃる方に『良い雰囲気の職場だね』と褒めていただけることが多くなりました。そういう声をいただくことで、従業員の皆さんの表情もどんどん明るくなってきたと感じています。」

真っ白な空間に工作機械が並ぶ第3工場はまさに試験場(ラボ)の趣

真っ白な空間に工作機械が並ぶ第3工場はまさに試験場(ラボ)の趣

遠藤製作所が見すえる未来

「クリエイティブであること」をスローガンに掲げ、ホームページやSNSを活用して情報発信を行い、一貫したブランディングに取り組んできた同社。遠藤社長はその好循環に手応えを感じていると続けます。
「当社のブランディングがうまくいっていると感じるのは、理念に共感して入社を希望してくださる方が増えたことです。ベンチひとつで反対されていた時代とは違い、今は新しいアイデアの実現に向かって全員が団結できていると感じます。 これまでは規模の拡大を優先してきたので、これからはデジタルと融合したものづくりの形を模索していきたいと考えています。それも、社員の皆さんと一丸になって実現させていきたいです。」

異業種からやってきた型やぶりな社長が描く“ものづくり企業”の新しい姿。理想を具現化していく仲間を得て、その成長スピードは日に日に高まっています。

取材に伺った日に開催されていた改善提案のミーティング。真剣な眼差しで活発な意見が飛び交います

取材に伺った日に開催されていた改善提案のミーティング。真剣な眼差しで活発な意見が飛び交います

第3工場には本格的な機具の揃ったジムを併設。従業員の皆さんからの評判も上々

第3工場には本格的な機具の揃ったジムを併設。従業員の皆さんからの評判も上々



プロフィール
株式会社遠藤製作所代表取締役社長 遠藤 聡 さん

1974年生まれ。山形市出身。都内の建築設計事務所で設計・現場管理の業務に従事した後、2003年に株式会社遠藤製作所へ入社。 専務を経て2011年に代表取締役社長へ就任。趣味は気分をリセットするための筋トレ。

株式会社遠藤製作所

山形県山形市立谷川二丁目485番地10(本社)

HP  https://www.endo-m.com/


株式会社遠藤製作所 代表取締役社長 遠藤 聡 さん

勝負メシ 鶏むね肉

筋トレは「健康維持と気分転換に最適」と話す遠藤さんにとって、良質なタンパク源とされる鶏むね肉は欠かせない食材。お酒の席でも選ぶのは「塩の焼き鳥」といった徹底ぶり。

勝負メシ

この記事を書いた人
おはなかいぎさん

おはなかいぎさん
Profile かいぎさんの中でいちばん自然を愛するキュレーター。土いじりのほかに、筋トレや映画にも精通している。最近の悩みは「自宅の周りを縄張りとする野良猫たちとの距離感」。
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