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2023.08.10
テレビとコンテンツ配信の融合が生み出す
新しいエンターテインメント体験
株式会社東北ケーブルテレビネットワーク
2023年8月1日に行われた「東北ケーブルテレビネットワーク×U-NEXT合同記者発表会」。写真左が株式会社東北ケーブルテレビネットワーク代表取締役社長の吉村和文さん。右は株式会社U-NEXT取締役COOの本多利彦さん(場所:パレスグランデール)
「サブスク」と略される定額制契約サービス。映画や音楽の配信コンテンツでは、あたり前のように利用されていますが、このサービスを運営する株式会社U-NEXTと株式会社東北ケーブルテレビネットワーク(以下東北CATVネットワーク)が初のコラボレーションを果たしました。両社の今までにない取り組みとはどのようなものか。その魅力と可能性についてレポートします。
ここからはじまる「新しいワクワク」
東北のケーブルテレビ17局から成る東北CATVネットワークは、番組の共同制作や共同イベントの開催など、ケーブルテレビ事業の活性化に貢献することを目的にした組織。代表取締役社長は吉村和文さん。山形のケーブルテレビ事業を手掛ける株式会社ダイバーシティメディアの代表取締役社長で、県内最大規模の映画館、株式会社MOVIE ONの代表取締役社長も務める、山形のエンタメ業界を牽引する実業家です。
パートナーシップを組む株式会社U-NEXTは、日本発の動画配信サービス「U-NEXT」を運営。2023年7月「Paravi」と統合し、有料会員385万人以上、コンテンツ数36万本以上という、国内勢最大の動画配信プラットフォームとなりました。動画だけではなく、94万冊のマンガや書籍を配信、190誌以上の雑誌も読み放題という、日本や世界の「観る」「読む」「聴く」エンタメ体験が全て詰まった、今注目の存在。そんなU-NEXTが、東北のケーブルテレビと共にスタートさせるものとは。2023年8月1日に行われた合同記者発表会へ伺いました。
※ケーブルテレビとは、地上波・CS・BS放送など様々な番組を電柱に設置したケーブル線で一括配信するサービスのこと。
U-NEXTとのコラボレーションの経緯
合同記者発表会は、東北CATVネットワークの代表取締役社長の吉村さんの説明からはじまりました。
「コロナ禍が続いたこの3年間、価値観や社会の構造は大きく変わりました。今後私たちがどのようなことができるかを模索した時、新しい時代を牽引しているU-NEXTさんと組むことで、何か面白いことができるのではと考えたのです」
2006年に設立した東北CATVネットワークは、「山形国際ムービーフェスティバル」や、吉本興業とのコラボイベント「発掘!おもしろ東北人」などを開催し、東北全域を活性化させ、盛り上げる努力を続けてきました。2020年には、NTT東日本とスカパーJSATと連携、東北の各家庭へインターネット光回線でケーブルテレビサービスを届ける事業を展開。時代に即した環境整備にも貢献しています。
「ケーブルテレビにインターネットコンテンツを配信したい、とずっと考えていました。映画やドラマはもちろん、スポーツや格闘技など、テレビのチャンネルではあまり見られないさまざまなコンテンツも地方の各家庭に届けることができる。国内最大級のコンテンツ数を持つU-NEXTさんとなら、それが叶えられると思ったのです」
「発掘!おもしろ東北人2023」は漫才・コント・モノマネ・一発芸などの王道のお笑いはもちろん、演芸・落語・手品・ダンス・歌・スゴ技など、ジャンルは問わず純粋に「面白さ」を競い合う大会。2023年は8月27日に決勝大会が行われます(主催:日本ケーブルテレビ連盟東北支部、運営:株式会社東北ケーブルテレビネットワーク、協力:吉本興業株式会社)
東北から生まれた優れた作品を全国へ広めたい
続けて株式会社U-NEXTの取締役COOの本多利彦さんより、連携事業の詳細について説明がありました。
「スローガンは『PLAY, NEW TOHOKU.』。映像、音楽、スポーツ、あらゆるエンタメを通して、新しい東北を日本中に発信していく予定です」。その協業内容は大きく3つあると言います。
「1つは東北ケーブルテレビとの連携。東北CATVネットワークに加盟するケーブルテレビ局にて、U-NEXTの取次ぎ販売を開始します。U-NEXT会員を東北に広げるだけではなく、各ケーブルテレビ局から厳選された映像コンテンツを全国に配信していくことも計画しております」
2つめは「山形国際ムービーフェスティバル(YMF)」との連携。「東北は数多くの文豪や俳優を輩出し、優れた映画作品も生み出しています。大型の映画スタジオもありますし、とてもクリエイティブな地域だと感じています。YMFのスカラシップ作品※やノミネート作品をU-NEXTで配信し、全国津々浦々にいる映画ファンの方々に、この映画祭を体験してもらいたいですね」
スカラシップ製作委員会への参加、U-NEXT賞の新設など、クリエイターを発掘し、支援していく活動にも協力していくとのこと。海外の映画祭での受賞作品も生まれているYMFですが、これからますます盛り上がっていきそうです。
※スカラシップ作品・・・スカラシップは「奨学金」という意味。YMFでは、本格的に製作委員会を作り、製作資金、製作体制、配給などのバックアップ体制のもと、劇場公開の商業映画として、映画界に新たな風を起こす作品製作を目指している。
2022年に行われた「第18回山形国際ムービーフェスティバル」の様子。2005年の開始以来、応募総数は4000作品を超えました。山形国際ドキュメンタリー映画祭と並び、山形を映画のまちとして知らしめている存在です。この映画祭が300万人を超えるU-NEXT会員の方々の目に届く日も遠くありません
映画ファンがもっと楽しめる仕組みづくりを
3つめは映画館「MOVIE ONやまがた」との連携です。「我々は映画ファンを大切にしたいとの想いがあります」と本多さん。「その結晶としてU-NEXTではポイントでおトクに映画館へ足を運べるシステムを作っています。MOVIE ONやまがたでも、U-NEXTのポイントで映画チケットを購入できるようになります。今後はU-NEXTが製作協力した映像作品をMOVIE ONやまがたで上映していく予定です」
実は、今回の東北CATVネットワークとの事業連携のきっかけも「映画」だったと言います。
「U-NEXTで独占配信しました阿部サダヲさん主演の『アイアムまきもと』という作品はオール山形ロケでした。このご縁の中から今回の話につながった部分もありますし、吉村社長は映画界ではとても有名な方ですので、そういったご縁もありました」
2023年8月1日からはじまったMOVIE ONやまがたとの連携。映画ファンには嬉しい特典です
MOVIE ONやまがたのWebサイトはこちら
U-NEXTから東北や山形の魅力を全国にライブ配信
今後どのようなものを配信していくか、との質問に本多さんは「東北のケーブルテレビ各局とも、非常に面白いものを作っていると感じています。それを地域だけに留めておくのはもったいないので、全国の人々が見られるようにしたい」と話します。また、ライブ配信についての計画も。「例えば山形交響楽団の演奏ですとか、劇場でしかみられない東北のすばらしいコンテンツも配信していきたいと考えています」
「音響についてはU-NEXTさんはすばらしい技術を持っています」と吉村さん。「東北のまつりなどもテレビの大音響で楽しめるような配信をしていきたい」と続けます。
「PLAY, NEW TOHOKU.」をスローガンにスタートしたこのコラボレーション。「日本中に新しい東北を届けることで全国のエンターテインメントの底上げにしたい」と語る本多さんに対し、吉村さんも「地方の中だけで完結してしまうのではなく、全国や世界とつながっていけるようにしていきたい」と応じます。
東北や山形の魅力が、全国各地に発信されることで、「新しい東北」の発見とつながりが生まれるかもしれません。これからの展開がとても楽しみです。
株式会社東北ケーブルテレビネットワーク
http://www.tcatv.co.jp
株式会社ダイバーシティメディア
https://www.diversitymedia.jp