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2022.12.26

人と地域をつなぎ、健康元気を応援する「最高のスーパー」に

株式会社ヤマザワ 代表取締役社長 古山利昭 さん

かいぎさん
「スーパーは入口正面の売り場が一番の顔。陳列や品揃えにも気を配りますね」と古山さん(山形市のヤマザワ松見町店の青果売り場にて)

「スーパーは入口正面の売り場が一番の顔。陳列や品揃えにも気を配りますね」と古山さん(山形市のヤマザワ松見町店の青果売り場にて) 

長く続くコロナ禍で、暮らしの中のエンタメが少なくなってきている中、普段の生活での「買い物」にも楽しみを探す傾向が増えています。雑誌やテレビで「ご当地スーパー」特集が組まれることも多くなりました。県民なら誰もが知る「ヤマザワ」は山形県が誇る地域スーパーの旗手。2022年に創業70周年を迎えた株式会社ヤマザワの代表取締役社長、古山利昭さんに、ヤマザワならではの楽しみ方や今後の取り組みについてお話を伺いました。

社長就任以降、力を注いだ社内のボトムアップ化

株式会社ヤマザワは、山形県と宮城県に60店舗を展開する東北でも有数のスーパーマーケット。グループ全体の売上高は1129億円(2021年2月)、東京証券取引所のスタンダード市場にも上場しているビッグカンパニーです。古山さんが社長に就任したのは2015年。「入社してすぐ業界の厳しさを痛感した」と語る古山さんが最初に取り組んだのは、従業員の力を引き出すための風土改革。
「チェーンストアなので、本部の指示に従うことは当然なのですが、現場スタッフの工夫やアイデアをもっと取り入れて、全員参加でやっていく風土を作っていきたいと考えました」その一つが「QCサークル活動」。ストア社員もふくめた従業員全員が少人数のグループで問題を見つけ、解決や目標達成に向かっていく取り組みです。

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QCサークル活動の様子。「意見も活発にでるようになってきました。皆さん本当に頑張ってくれています」と古山さん(写真提供:株式会社ヤマザワ)

「普段は社長室にいないで現場を回るように心がけています」従業員の方とのコミュニケーションがしっかりと取れている雰囲気が感じられました

「普段は社長室にいないで現場を回るように心がけています」従業員の方とのコミュニケーションがしっかりと取れている雰囲気が感じられました

テーマを決めた売り場づくりでお客さまも従業員も笑顔に

現場の発想を引き出すことで、より良い売り場づくりに貢献しているのが「テーマを決めた販売企画」。毎回ひとつのテーマに沿って、各店舗お薦めの商品をどう陳列していくか考えていきます。
「たとえば夏に開催した“カレー祭り”では、総菜部門では“とんかつ”、野菜部門では“パプリカ”、じゃあ日配部門では“カレーパン”も売ろう、とアイデアがどんどん出て、売り場も盛り上がり、お客さまからも大いに受け入れていただきました」
ほかにも春は「あずき」、秋は「味噌」などのさまざまなフェアを開催。社員の人材育成にも役立てたかったという古山さん。ねらいは見事に的中、ヤマザワならではの特徴を感じる恒例の企画となっていきました。

2021年に実施したカレー祭りのチラシ。期間中はチラシのほか、店頭入口に立て看板も設置。お客さまへのPRはもちろん、従業員にも意識を持ってもらうためだとか(写真提供:株式会社ヤマザワ)

2021年に実施したカレー祭りのチラシ。期間中はチラシのほか、店頭入口に立て看板も設置。お客さまへのPRはもちろん、従業員にも意識を持ってもらうためだとか(写真提供:株式会社ヤマザワ)

山形の地域性を意識した商品づくりをスタート

「核家族化や、一人暮らしの高齢者の増加により、食生活のスタイルも変わってきています」と古山さん。ヤマザワでもここ数年で半調理品やお惣菜などに力を入れるようになりました。その中で「山形の地域性をもっと出していきたい」と生まれたのが、地元の素材や企業とコラボした商品。山形県産つや姫の塩麴を使用した「絶品!塩とりから」や、鶴岡市の鷲田民蔵商店さんの「あま酒こうじ」を使用した味付け魚、山形市の丸十大屋さんの「味マルジュウ」で味付けした干物など、山形らしい美味しさにこだわった商品を開発しています。

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「絶品!塩とりから」と「鷲田のあま酒と塩麹使用の銀さけ味付」。「絶品!塩とりから」は2021年『ファベックス総菜・べんとうグランプリ』からあげ部門で優秀賞を受賞(写真提供:株式会社ヤマザワ)

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「地場野菜コーナー」を設置するなど、山形らしさを意識した売り場づくりも積極的に進めています(写真提供:株式会社ヤマザワ)

創業70周年を迎え、感謝を込めた企画を続出

「今、光熱費をはじめ、あらゆるものの値段が上昇し、私たちの生活を圧迫しています。その中で切り詰めていくのは、みなさんやはり食費なんですよね」と古山さん。ヤマザワでも牛乳や食パン、豆腐、納豆などいわゆる「生活必需品」と呼ばれるものはなるべく価格を抑える努力を続けています。70周年を迎えた2022年は、記念式典やイベントを行うよりも「価格や増量でお客さまに還元する」方針を決定。県産ラ・フランス果汁を使った「やまがたドラフト」、老舗喫茶店を巡り開発した「山形仕立てブレンドコーヒー」など、山形にこだわったオリジナル商品も販売しました。「創業70周年企画は、しばらく続けていく予定です。好評だったオリジナル商品は定番化も考えています」

2022年8月「大創業祭」企画の第1弾チラシ。感謝価格や増量キャンペーン、プレゼント企画など消費者に嬉しい企画が目白押しとなりました。左上には創業時のチラシの画像も掲載(写真提供:株式会社ヤマザワ)

2022年8月「大創業祭」企画の第1弾チラシ。感謝価格や増量キャンペーン、プレゼント企画など消費者に嬉しい企画が目白押しとなりました。左上には創業時のチラシの画像も掲載(写真提供:株式会社ヤマザワ)

目指すは「食のテーマパーク」

株式会社ヤマザワは1952年に創業、10年後の1962年、山形駅前にスーパーヤマザワの1号店をオープン。スーパーとしても60年の歴史を刻んできました。
「今、店舗のリニューアルを進めています。古くなってきているという理由もありますが、売り場の構成比も昔と今とではずいぶん変わってきているので」
ドラッグストアが増えたことで日用雑貨品を減らし、売り上げが伸びてきている冷凍食品や半調理品、総菜のコーナーを広げるなど、時代に合ったスーパーの形に進化させていく方針です。2023年の3月には秋田県横手市にある子会社「よねや商事」のスーパーよねやも秋田ブロックとしてヤマザワの仲間入りを果たします。
「今後3年ぐらいかけ1店舗ずつきちんとリニューアルし、活性化させていきたい」と古山さん。そして何よりも「楽しい売り場にしたい」と願います。
「スーパーマーケットなので、“安さ”は絶対忘れないこと。その中で地域の食文化や山形の魅力を発信したり、試食もできたりするエンターテインメント的な要素が加われば、さらに面白くなっていくと思います。お客さまも従業員も、何か楽しんで来ていただけるそんな場所にしていきたいですね」
私たちの生活に寄り添ってくれるスーパーマーケット、ヤマザワが、食のエンターテインメントプレイスとして、今後どんな「ワクワク」を届けてくれるのか、期待は増すばかりです。

1962年(昭和37年)にオープンした、ヤマザワ1号店山形駅前(写真提供:株式会社ヤマザワ)

1962年(昭和37年)にオープンした、ヤマザワ1号店の山形駅前店(写真提供:株式会社ヤマザワ)



2020年に移転オープンした河北町谷地店は、入口を 1 カ所にした初のワンウェイ型(写真提供:株式会社ヤマザワ)

2020年に移転オープンした河北町谷地店は、入口を 1 カ所にした初のワンウェイ型(写真提供:株式会社ヤマザワ)



プロフィール
株式会社ヤマザワ 代表取締役社長 古山利昭さん

1970年生まれ、新潟県出身。日本大学法学部卒業後、1993年山形銀行に入行。2011年本部融資部調査役を最後に退職し、株式会社ヤマザワ入社。取締役営業本部長、代表取締役副社長などを経て2015年5月代表取締役社長に就任。

株式会社ヤマザワ

山形県山形市あこや町3-8-9

https://yamazawa.co.jp/
株式会社ヤマザワ

勝負メシ サンコーのおにぎり

現場を回っている時によく食べるのがヤマザワでもお馴染み、サンコー食品のおにぎりシリーズ。山形県産米を使用し、蔵王山系の伏流水で炊飯した人気定番商品です。「山形の米の美味しさを実感しますね」と古山さん。特に好きな具は明太子とのこと。

サンコーのおにぎり

この記事を書いた人
おれんじかいぎさん

おれんじかいぎさん
Profile 山形会議のキュレーター。長井市出身。「包丁を研いだら、切れ味がよくなった」など、日常の幸せを見つけることが得意。頼れるお姉さんとしていつもニコニコ見守ってくれる。
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