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2022.02.02

郷土のぬくもりをお部屋に、ポケットに。―山形県産の手しごとたち

尚美堂

今回、商品を紹介してくれた看板娘のこけし「まるしょうちゃん」は、旅好きの女の子。尚美堂エスパル山形店のインスタグラムに登場していますのでチェックしてみて

商品を紹介してくれた看板娘のこけし「まるしょうちゃん」は、旅好きの女の子。尚美堂エスパル山形店のインスタグラムに登場していますのでチェックしてみて

山形の伝統工芸品やお土産を取り扱うお店といえば、尚美堂(しょうびどう)を思い浮かべる山形県民も多いのではないでしょうか。1937年に創業の尚美堂はシネマ通り(旧旭銀座通り)にある老舗・七日町店と、駅ビルにあるエスパル山形店の2つの店舗があります。山形会議では今回、エスパル山形店におじゃまして、おすすめアイテムを教えていただきました。

山形駅改札からすぐ、エスパル山形の2階にある尚美堂。さまざまなテーマで季節ごとに変化するメインのディスプレイは、訪れるたびにワクワクします

山形駅改札からすぐ、エスパル山形の2階にある尚美堂。さまざまなテーマで季節ごとに変化するメインのディスプレイは、訪れるたびにワクワクします

 

ずっとそばに山形を感じたいー インテリア編

*お鷹ぽっぽ(タカ)・ふくろう・尾長鳥(笹野一刀彫)

お鷹ぽっぽ(タカ)・ふくろう・尾長鳥(笹野一刀彫)

笹野一刀彫は山形県米沢市笹野地区に伝わる民芸品。米沢藩主・上杉鷹山公が、冬期の副業として農民たちへ製作を推奨したといわれています。軽くて繊細な表現に適した素材として、山形県産のコシアブラの木を使用しているそう。「ぽっぽ」とは、アイヌの言葉で「玩具」という意味なんだとか。今では、魔除けや縁起物として親しまれています。(全て情野辰蔵作 左:タカ6号 真ん中:ふくろう5号 右:尾長鳥5号 各1,320円 )※金額は全て税込・2022年2月現在

*フラワースタンド 水面・あやめの茎(山形精密鋳造)

フラワースタンド 水面・あやめの茎(山形精密鋳造)

長井市で自動車用部材などの製造を手掛ける山形精密鋳造。業界屈指の技術を応用して開発した鋳物の花器です。お花を飾るときに、好みのバランスにできる優れモノ。「みずのまち」であり、日本有数のあやめ公園のある長井市らしく、水とあやめの茎の断面がそれぞれのモチーフです。フラワースタンドとしてはもちろん、ソープディッシュや小物を置くトレイに使っても◎(左:水面 flower stand〈素材:ステンレス鋼 サイズ:W96×D94×H12mm〉・右:あやめの茎 stalk of ayame〈素材:ステンレス鋼 サイズ:W95×D95×H12mm〉各3,080円)

*山形県産無垢材ブロック「もくロック」(MOKULOCK)

山形県産無垢材ブロック「もくロック」(MOKULOCK)

もくロックは、山形県の豊かな森林と精巧な技術によって生み出された木製ブロック。捨てられてしまうほど小さな木片を利用したサステナブルなアイテムです。サクラ、ホオ、カエデ、ケヤキ、シデ、カバの木材があり、ブロックの色が違うのも魅力。知育玩具でもあり、インテリアとしても人気のこちらは、木の香りがほんのりとしていて、触るだけでも癒されます。(24ピースセット 2,640円・34ピースセット 3,740円)

*月山和紙のあかり(せいのまゆみ)・ボトルフラワー 「lian/リアン」(sanka)

月山和紙のあかり(せいのまゆみ)・ボトルフラワー 「lian/リアン」(sanka)

(左)およそ400年の歴史と伝統を誇る月山和紙を使用したランプシェードBOUQUET(ブーケ)は、作家・せいのまゆみさんによるハンドメイド作品。和紙の素材を眺めるだけでも、うっとりとした気分になります。店頭ではキャンドルホルダーの雪洞(ぼんぼり・1,870円)やKIRIHARI(きりはり・2,860円)を販売。やさしい灯りに癒されながら、おうち時間を過ごしてみてはいかが。(BOUQUET サイズ:200×200mm オーダーメイドのため価格はせいのさんと相談)
(右)ボトルフラワー「lien/リアン」は、ドライフラワー専門店sankaが、独自のドライフラワー技法により草花を自然な姿でガラス管に閉じ込めたインテリアフラワー。ガラスに閉じ込めたバラはまるで「星の王子様」の世界のようですね。ほかにもカーネーションや紅花など10種類ほどあり、プレゼントにも◎(サイズ:W35×D35×H160mm 各3,850円)

 

郷土のぬくもりを身につけたいー 服飾雑貨編

*米織小紋 丸型がまぐち(山口織物鷹山堂)

米織小紋 丸型がまぐち(山口織物鷹山堂)

鷹山堂のオリジナルブランド「米織小紋(よねおりこもん)」は綿100%で、丈夫で長持ち。古典的な小紋柄と日本の伝統色を織りで表現しながら、現代風に見えるというのも魅力的。表地と裏地が反対の柄(ネガとポジみたいな感じ)になっていて、がまぐちを開くたび、丁寧なつくりと柄のかわいらしさを再認識します。小銭入れとしてポケットにしのばせて。(米織小紋 丸型がまぐち 左から網代〈あじろ〉・さくらんぼ〈山形限定〉・鮫小紋〈さめこもん〉各1,650円)

*リネンのストール(KENLAND/ケンランド)

リネンのストール(KENLAND/ケンランド)

ケンランドは、全ての商品にリネン素材を使用している山形市のニットブランド。良質なヨーロッパ産のフラックスという植物の茎の繊維を原料としています。地球にも体にも優しい素材で、一年中使用できるのが特徴。家庭で洗濯可能というのもうれしいところ。使い込むほどに柔かく肌に馴染み、素材のよさを実感できます。ほかにもソックスは男女問わず人気です。(リネンリバーシブルストール 12,100円)

*カードケース(COOHEM/コーヘン)

カードケース(COOHEM/コーヘン)

2020年、新たな価値を提案する新ブランド「THISISASWEATER.(ディス イズ ア セーター)」も話題の老舗ニットファクトリー・米富繊維。その米富繊維が手がけた初の自社ブランド「COOHEM」のニットツイードと呼ばれる独自のテキスタイルを用いたアイテムは、持っているだけでもワクワクします。(カードケース 各8,250円)

COOHEM=交編というだけに素材や色の組み合わせが斬新。全国紙に掲載されたりと、反響の多い人気アイテムのクラッチバッグ。(クラッチバッグ 17,600円)

COOHEM=交編というだけに素材や色の組み合わせが斬新。全国紙に掲載されたりと、反響の多い人気アイテムのクラッチバッグ。(クラッチバッグ 17,600円)

ニット地と布帛(ふはく)生地を組み合わせてつくられた小さなトートバッグは、お財布やスマートフォンなどが入るB5サイズ。生地の組み合わせはランダムなので、一期一会。店舗で実物をチェックするのが吉。(ミニバッグ 6,050円)

ニット地と布帛(ふはく)生地を組み合わせてつくられた小さなトートバッグは、お財布やスマートフォンなどが入るB5サイズ。生地の組み合わせはランダムなので、一期一会。店舗で実物をチェックするのが吉。(ミニバッグ 6,050円)

 

あの人にも山形の魅力を届けたいー おみやげ編

*蔵王高湯系こけし(田中恵治)・山形系こけし(小林清)

蔵王高湯系こけし(田中恵治)・山形系こけし(小林清)

「みちのくこけしまつり」で内閣総理大臣賞など各賞を何度も受賞しているという田中恵治さんのこけし(左)。蔵王高湯系は胴がずっしりとしてカラフルな印象です。山形系こけしと呼ばれる小林清さんの作品(右)は胴がほっそりとしてキリリと凛々しい。産地ごとに形や絵付けに違いがあり、作家さんごとにも個性があり、その特徴を見比べるのも興味深いですね。(左:蔵王高湯系/6寸/田中恵治作/2,420円・右:山形系/6寸/小林清作/1,430円)

*100%リンゴジュース(リンゴリらっぱ)

100%リンゴジュース(リンゴリらっぱ)

新庄市のリンゴ・カンパニー「リンゴリらっぱ」。その100%自家農園産リンゴ使用のジュースは、単品種だったりブレンドだったり、穫れるリンゴによってその時期の商品も替わるとのこと。100% APPLE JUICEという商品なのに、パッケージのイラストを描いた100%ORANGEさんのサインが並んで表記されているところもチャーミングで、思わず「どっちやねん!」とツッコミを入れてしまいそう。飲み終えたら飾りたくなるくらいのかわいさ。(左から、ほくとブレンド・にがむしブレンド・さんさブレンド・紅玉ブレンド 各421円)

*競技用けん玉「大空」(山形工房)

競技用けん玉「大空」(山形工房)

「競技用けん玉生産日本一」の認定工場である長井市の山形工房。子どもからご年配まで楽しめるけん玉は、コミュニケーションツールとしても人気です。最近では海外でもKENDAMAとして認知されているグローバルなものに。海外へのお土産としてもよさそうですね。尚美堂では人気の赤、青、黒を扱っています。(大空けん玉 2,178円)

*花笠

花笠

山形の夏の風物詩「花笠まつり」で使う、この花笠づくりの伝統を守るのも使命のひとつだという尚美堂。社長の逸見さんはそのために耕作地を購入し、材料であるスゲの栽培も手掛けるほどです。ちょこんと手のひらに乗る豆花笠から、こちらのミニ花笠、そして実際に踊りで使うものまでさまざまなサイズと、男笠(写真左)や尾花沢笠まで幅広く取り揃えています。(ミニ花笠〈サイズ:18cm〉1,980円)

 

つくり手とともに、山形の伝統工芸品を後世に伝えたい

花笠とフィルムロールのコントラストが映える尚美堂七日町店のシャッター(写真提供:尚美堂)

花笠とフィルムロールのコントラストが映える尚美堂七日町店のシャッター(写真提供:尚美堂)

そんな尚美堂といえば2020年、画家・壁画師の小林舞香さんが高さ2.4メートル、幅8メートルもある七日町店のシャッターに壁画を描いた「シネマ通りシャッター壁画プロジェクト」も記憶に新しいところ。旭銀座はかつて映画館が8つ存在した通称「シネマ通り」として長年親しまれてきた商店街です。壁画は商店街の歴史と文化を次世代に継承したいと映画館、紅花をテーマにしているといいます。尚美堂はいま、伝統工芸品やお土産品を私たちの暮らしの一部に取り入れる提案をしてくれるのはもちろんのこと、「作家さんや手しごとを応援したい」「歴史や文化を残したい」という“思い”を伝えてくれるお店。七日町店のシャッターの取り組みのほかにも、現代の生活に馴染むオリジナルの商品の開発や、職人さんをお呼びして実演会やワークショップも開催しています。そうやって、伝統工芸と私たちの距離を縮めてくれる存在です。便利なもの、新しいものばかりでなく、日本文化である手しごとの美しさを忘れないように―。

 

はじめませんか?「民芸さんぽ」

尚美堂エスパル山形店の看板娘「まるしょうちゃん」も実は、スタッフさんがこけしのワークショップで制作したんだとか。まるしょうちゃんが、つくり手を訪ねる旅のインスタグラムの投稿が楽しみ。自由に出かけられる日が待ち遠しいです

尚美堂エスパル山形店の看板娘「まるしょうちゃん」も実は、スタッフさんがこけしのワークショップで制作したんだとか。まるしょうちゃんが、つくり手を訪ねる旅のインスタグラムの投稿が楽しみ。自由に出かけられる日が待ち遠しいです

というわけで、おすすめアイテムのほんの一部を紹介しました。ほかにも紹介しきれないものがもりだくさん!山形のお土産はもちろん、自分へのご褒美やインテリアにもほしくなる商品ばかりです。みなさんもお店でぜひお気に入り=「マイ・フェイバリット・ヤマガタ」を見つけてくださいね。

尚美堂

七日町店
 山形県山形市七日町 2-7-18 ナナビーンズ 1階
エスパル山形店
 山形県山形市香澄町 1-1-1 エスパル山形 2階

この記事を書いた人
みどりかいぎさん

Profile 山形会議のキュレーター。元・書店員。青森生まれ、盛岡・仙台育ち、そして山形へ。今までの引っ越し回数は12回を数える。日々糖質との闘い。レモンサワーがあれば大丈夫。
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