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2020.10.20蔵王の自然と体にやさしい食を堪能。心地よい時間が流れる森の甘味処
八宝堂(はっぽうどう)
天然木のテーブルが調和する八宝堂店内。築30年以上の趣のある日本家屋は、2020年夏のオープンにあたって電気配線と家具を設置したのみで、内装は当時のまま使用されています(写真提供:八宝堂)
2020年夏、上山市蔵王は猿倉にオープンした甘味処「八宝堂」。蔵王エコーライン沿いにあり、うっそうと生い茂る木々の合間から覗く八角形が印象的な建物です。夏場限定のかき氷には涼を求める人々の行列ができるほど、すでに知る人ぞ知る人気店となった避暑地の甘味処。10月からはかき氷に代わり、山形でも珍しい新メニューが加わったという八宝堂を訪ねました。
かき氷は夏期のみの提供。八宝堂オリジナルの「八宝水」や「和三盆みるく氷」、「乃し梅かき氷」のほかにも、限定かき氷がシーズン中は続々登場。素材のやさしい甘みとすっきりとした喉越しのかき氷を、緑香る蔵王の森の中で贅沢に味わうことができます
かき氷だけじゃない。台湾スイーツを和アレンジした甘味「八宝豆花」も登場
今シーズンのかき氷の提供は9月いっぱいで終了した八宝堂で、10月より新メニューとしてはじまったのが「八宝豆花」(トウファ)です。「豆花」(トウファ)はお豆腐のような食感の豆乳にシロップをかけていただく、台湾の伝統的なスイーツだといいます。
タピオカ・白木耳(きくらげ)・黒米・小豆・白玉・さつまいも・緑豆・押し麦・ピーナツなど多くのトッピングにより、さまざまな食感が楽しめる八宝豆花(1,000円)※金額はすべて税込です
八宝堂の豆花は、豆や雑穀など7~8種を贅沢にトッピング。きび糖・生姜のシロップのどちらか、また冷温どちらかをオーダーできます。気温や体調によってセレクトできるのがうれしいですね。トロトロふわふわな豆花の絹ごし豆腐のようなやさしい口当たりに、白玉やタピオカのモチモチ、豆類のごろりとした食べ応えのある食感などがそれぞれアクセントに。各素材の自然な味わいを感じながら、つるりと喉を通っていきます。どんぶり一杯分ほどのたっぷりサイズのスイーツは、もはや食事のようなボリューム。食後は心もお腹も満足感でいっぱいになります。
こちらも新メニュー!台湾の朝ごはん「豆漿」もおすすめ
豆花のほかにも、台湾ではポピュラーな朝食といわれる豆漿(800円。写真の中華揚げパンがセットで1,000円)も味わえる、山形では数少ないカフェ。ヨガ×サウナ×豆漿を楽しめるような、気になるイベントも計画しているそうです。イベントのお知らせは八宝堂のSNSをチェック
八宝堂の甘味以外のメニューで、軽食としていただける「豆漿」(トウジャン)もこの秋から仲間入り。豆漿はお酢で味わう温かい豆乳スープのことで、“豆乳のおかゆ”みたいなイメージでしょうか。豆乳にお酢を加えると化学反応で凝固するので、ほろほろとしたとした“半熟のお豆腐”のようになります。豆乳のほのかな甘みとお酢の酸味、ラー油のピリ辛さが舌に心地よいスープは、おいしいだけでなくヘルシーで、身体がぽかぽかに。セットでオーダーできる中華揚げパン「台湾油條」(ヨウティアオ)は、スープにひたして食べたりお砂糖をまぶして食べたりと、味変も楽しめるので豆漿のお供に最適です。
八宝堂、それぞれの楽しみ方
豆乳ベースの豆花や豆漿のほかにも、八宝堂には甘味処の定番メニューがあります。そしてうれしいことに、すべてがテイクアウト可能とのこと。メニューの一部を紹介します。
北海道産小豆を使用した自家製のあんこにほのかに香る柚子を添えた「ぜんざい」(700円)。豆花とは甘さが違うあんこをぜんざいには使用していて、別に炊いているそう。塩昆布はお好みで
人気の「ショコラ羊羹」(350円)は、山椒とローズマリーをスパイスに、チョコレートとあんこ、ラム酒でつくった八宝堂のオリジナルスイーツ。カヌレ型の見た目にも癒されます。テイクアウトの場合は2つからオーダーできます
山形市内にある焙煎所AURORA COFFEEのオリジナルブレンド。苦味と酸味の調和が心地よい一杯です。蔵王の大自然の中でゆっくりといただくハンドドリップコーヒーは格別です
「乃し梅ソーダ」(500円)。山形の老舗和菓子屋乃し梅本舗 佐藤屋のシロップのソーダ割り。爽やかな酸味と甘みですっきりと。「乃し梅のお湯割り」もあるので、その日の気分でどうぞ
上白糖を使わず、きび糖・てんさい糖・黒糖などミネラルを多く含んだ自然なお砂糖のみを使用している八宝堂のこだわりの甘味。ほかにもヘルシーな素材をふんだんに使っているので、材料費がどうしてもかかってしまうといいます。それでも、普段味わえないものをこのロケーションでいただけるということは、特にこのコロナ禍ではとても貴重な場所。季節によって表情の変わる蔵王の景色と、さまざまなメニューで訪れる度に発見がありそうです。
八宝堂の周辺にあるトレッキングコース。大人なら5分ほどで散策できる距離です
甘味処のすぐそばに位置するツリーハウス。子ども連れのお客さまに喜ばれることが多いそうです
八宝堂の2階は八方向すべてに窓のある、開放的なつくりになっています。ミニコンサートや個展の開催もできるスペースとして貸出も行っているそうなので、気になる方はぜひお店にお問合せを
屋根裏部屋から見える八角形の天井は圧巻。日本建築の強さと美しさが随所に感じられます
八宝堂の“八”には“8種類”の意味のほかに“多くの”という意味も含んでいることばなんだそう。まさに甘味処の周囲には池や畑、小川やトレッキングコース、ツリーハウス、“ロウリュ”のあるサウナ(サウナはイベントのみ開放)などもあり、待ち時間や、コーヒーを片手に散策ができるスポットもあります。人それぞれの楽しみ方ができる八宝堂。街の喧騒から離れてリフレッシュしたいとき、ヘルシーなこだわりの具材と丁寧な配膳で心と身体が癒されるこの甘味処に足を運んでみてはいかがでしょうか。
この記事を書いた人
みどりかいぎさん