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2023.06.08コーヒーが苦手な人にこそ飲んでほしい 山形市のスペシャルティコーヒー専門店
ろば珈琲 結城充宏 さん
店内には結城さんがドリップしたコーヒーを楽しむためのスペースも
スペシャルティコーヒーとは、特に優れた風味はもちろん、生産国においての栽培管理や品質管理、そして適切な抽出により生産地の特徴的な風味特性が表現されたコーヒーのこと。今回はそんなスペシャルティコーヒーを生豆から焙煎して提供する専門店であり、オープンから13周年を迎えた「ろば珈琲」の結城充宏さんにお話をお聞きしました。
移ろいも受け入れながら、ずっとここにある“いつもの味”
店名を冠した「ろばブレンド」は、香り・苦味・酸味などの調和が魅力。店主の結城充宏さんは「店の基準になる味」と表現します。
「コーヒー豆は農産物のため、年によって出来の良し悪しが変わりますし、収穫してからの時間経過でも刻々と味わいが変わっていきます。ですから毎日、“ろばブレンドの味”にするために足したり引いたり、それを考えてブレンドしているんです。決まった配合があるわけではないので、ブレンドの構成自体が更新されてもいきます」
ショーケースに並ぶ定番ブレンドと季節限定ブレンド、さらにシングルオリジンのスペシャルティコーヒー
ろば珈琲で提供されるコーヒー豆は、全て店主の結城さんが厳選した高品質なもの。香り・苦味・酸味などが突出することなく、飽きることなく楽しめる「ろばブレンド」にはファンも多く、たくさんの声が寄せられます。
「お客さまには“ブレンドの味が変わったね”とおっしゃる方も“いつも変わらないね”とおっしゃる方もいます。いつもブレンドの配合は異なりますが、僕にとってはそのどちらもが本当なんですよ」
豆の個性を生かしたコーヒー
一杯のスペシャルティコーヒーは、生豆の品質・流通と保管・焙煎など、ひとつひとつのクオリティの集大成。地道な作業でも手を抜かないことが大切だと結城さんは言います。たとえば毎日行うというハンドピックは、未熟なまま収穫されたものや欠けてしまっているなどの欠点豆を見つけて一粒ずつ取り除く作業です。
「コーヒー豆って、実は果実の中にある種なんです。未熟なまま摘んでしまったものは、焙煎しても色が付かないんです。こういった良くない豆を取り除くことで、コーヒーの味わいがよりクリアになります。それはくすんだガラスを磨いて、ぴかぴかにするようなイメージです。せっかく個性のある豆ですから、その良さを存分に味わっていただきたいですね」
LCF(Leading Coffee Family)として生豆を買い付けています (左)
年に一度程度、自分への戒めのために欠点豆だけで淹れたコーヒーも味見するのだとか (右)
LCF(Leading Coffee Family)として生豆を買い付けています (1枚目)
年に一度程度、自分への戒めのために欠点豆だけで淹れたコーヒーも味見するのだとか (2枚目)
コーヒーもそれぞれ、お店もそれぞれ
胸元にもあるロゴマークは、絵本作家の西村敏雄氏によるもの
特徴的な「ろば珈琲」という店名は「なんとなく決めた」といたずらっぽく微笑む結城さん。
「うちのような小さな店は、店主の個性がそのまま表に出るところがあると思うんです。年数を重ねて、たくさんのお客さまに来ていただいて、そんな積み重ねのなかで一人ひとりの持っている“ろば”のイメージに似合ってるなと思ってもらえるようになれば嬉しいです。毎日の生活をちょっと彩るようなコーヒーを、これからも提供していきたいと思っています」
さまざまなお店が個性のあるコーヒーを提供し、そのそれぞれが支持されれば嬉しい、と話してくれた結城さん。実際に味わってこそ真価に触れられる「ろば珈琲」は、自然体の心地よさに包まれる素敵な場所でした。
ろば珈琲
山形市南原町1−27−24
12:00〜19:00 ※喫茶〜18:30
定休/火曜・祝日