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2022.11.07

慈恩寺の歴史に触れるきっかけに。次世代がワクワクできる交流の場へ

慈恩寺テラス


慈恩寺に群生している彼岸花。取材時には咲き始めの深紅の花々が出迎えてくれました。彼岸花の咲くシーズンはフォトスポットとしても人気です(写真提供:bookmark)

慈恩寺に群生している彼岸花。取材時には咲き始めの深紅の花々が出迎えてくれました。彼岸花の咲くシーズンはフォトスポットとしても人気です(写真提供:bookmark)

寒河江市にある国史跡、慈恩寺。その麓に佇むのが2021年5月にオープンした「慈恩寺テラス」です。お寺や仏像好きな方はもちろん、休憩を楽しむカフェスペースとしても話題を集めている慈恩寺テラスを山形会議が訪ね、お話をお聞きしました。

慈恩寺という郷土の歴史を知る入り口として

「地域を、未来を明るく照らす」との想いが込められた慈恩寺テラス。2014年10月に国指定史跡となった「慈恩寺旧境内」を紹介する総合案内施設です。
「当初は仏像や歴史好きな、高い年齢層の方が来ていただく施設だと想定していましたが、蓋を開けてみると、土・日曜などは小さなお子様連れのファミリーが遊びに来てお昼を食べていってくださることも。寒河江市にこんなに立派な歴史のあるお寺があるということを、子どもたちやファミリー層に向けても伝えていきたいですね」。そう話してくださったのは、慈恩寺テラスを運営する寒河江市観光物産協会 観光課課長の佐野さんです。

「NHKの大河ドラマ『鎌倉殿の13人』に寒河江ゆかりの大江広元公が登場していることから、大河ドラマファンにも多く訪れていただいています」

「NHKの大河ドラマ『鎌倉殿の13人』に寒河江ゆかりの大江広元公が登場していることから、大河ドラマファンにも多く訪れていただいています」

映像と音を体感できるシアター

無料の施設ながら、充実した展示内容で慈恩寺の歴史にたっぷりと触れられる慈恩寺テラス。「一番の見どころは『慈恩寺シアター』です。高さ3m×幅約20mの4K大型ラウンドシアターで、貴重な文化財である十二神将の映像や、慈恩寺の歴史が学べるアニメーションなどを上映しています。迫力ある映像と音を体感してほしいですね」と佐野さんが施設の魅力を紹介してくれました。

天童木工さんが手がけたマッシュルームスツールに座りながら、大迫力の映像を見ることができます

天童木工さんが手がけたマッシュルームスツールに座りながら、大迫力の映像を見ることができます

アニメーション映像はお子様にもおすすめ。声優陣は山形にゆかりのある朝倉さやさん、佐藤正宏さん、武田祐子さん、松波優輝さん、渡辺えりさん(五十音順)。「あっ、あの人の声だ!」なんて探したりするのも楽しいですね

アニメーション映像はお子様にもおすすめ。声優陣は山形にゆかりのある朝倉さやさん、佐藤正宏さん、武田祐子さん、松波優輝さん、渡辺えりさん(五十音順)。「あっ、あの人の声だ!」なんて探したりするのも楽しいですね

十二神将立像の映像。甲冑や武具を身に付けた武将の姿が表現されています。鬼気迫る表情や躍動する表現に見入ってしまいます(写真提供:慈恩寺テラス)

十二神将立像の映像。甲冑や武具を身に付けた武将の姿が表現されています。鬼気迫る表情や躍動する表現に見入ってしまいます(写真提供:慈恩寺テラス)

慈恩寺時空トラベル
慈恩寺三重塔雛形 企画展示室

(左)常設展示室。画像手前は約4m×4mの巨大ジオラマにプロジェクションマッピングを投影し、約1300年の歴史などを紹介する「慈恩寺時空トラベル」(写真提供:慈恩寺テラス)。(右上)慈恩寺三重塔内に安置されていた「慈恩寺三重塔雛形」の展示も。間近で三重塔の構造を見ることができます。(右下)企画展示室では季節ごとにテーマを変えて紹介

(1枚目)常設展示室。画像手前は約4m×4mの巨大ジオラマにプロジェクションマッピングを投影し、約1300年の歴史などを紹介する「慈恩寺時空トラベル」(写真提供:慈恩寺テラス)。(2枚目)慈恩寺三重塔内に安置されていた「慈恩寺三重塔雛形」の展示も。間近で三重塔の構造を見ることができます。(3枚目)企画展示室では季節ごとにテーマを変えて紹介

かわいくてユニークなカフェメニュー、地元の品々が揃う物販コーナーにも注目!

テラス席のあるカフェでゆっくりと休憩できる「寺そば・寺カフェ」も見逃せません。ご当地グルメの「肉そば」や山形県民のソウルフード「げそ天」、見た目もキュートな「寺ソフト」などを販売しています。カフェにはテラス席も。開放的な場所で味わうことで、一層美味しく感じられそうですね。

「寺そばセット」(税込950円)
「ポテそば」(税込750円)

(左)おすすめは「寺そばセット」(税込950円)。市内の有名そば店監修のそばを使った肉そばと、げそ天を一緒に味わえるボリューム満点のセット。山形県産大豆を使った住吉屋食品さんのお豆腐も。(右)9月から登場した「ポテそば」(税込750円)。出汁のきいたつゆとフライドポテトが意外と合うかも! ※価格は2022年11月1日現在

(1枚目)おすすめは「寺そばセット」(税込950円)。市内の有名そば店監修のそばを使った肉そばと、げそ天を一緒に味わえるボリューム満点のセット。山形県産大豆を使った住吉屋食品さんのお豆腐も。(2枚目)9月から登場した「ポテそば」(税込750円)。出汁のきいたつゆとフライドポテトが意外と合うかも! ※価格は2022年11月1日現在

寺ソフト「華」(税込420円)
そばがき甘味プレート(税込600円) いちごフロート(税込500円)

(左)寺ソフト「華」(税込420円)。ソフトクリームの上に縁起物のあられ「おいり」をちりばめ、和テイストに。コーンも紅白でかわいいスイーツです。(右上)そばがき甘味プレート(税込600円)。そばがきはカリッ、モチッの食感がおいしい!(右下)いちごフロート(税込500円)。寒河江産いちごを使ったいちごソーダに生乳ソフトをのせて(右下:写真提供:慈恩寺テラス)

(1枚目)寺ソフト「華」(税込420円)。ソフトクリームの上に縁起物のあられ「おいり」をちりばめ、和テイストに。コーンも紅白でかわいいスイーツです。(2枚目)そばがき甘味プレート(税込600円)。そばがきはカリッ、モチッの食感がおいしい!(3枚目)いちごフロート(税込500円)。寒河江産いちごを使ったいちごソーダに生乳ソフトをのせて(右下:写真提供:慈恩寺テラス)

「物販コーナー」には寒河江市内のお店の商品が並びます。なかでも注目は創業百年を数え、日本で唯一の手編み草履を製作している「軽部草履さんの草履」。「慈恩寺テラスを訪れた方々にこういった伝統工芸の品々があることを伝え、寒河江市の伝統工芸の継承につなげていきたいです」と佐野さんはいいます。

物販コーナー
軽部草履
商品1
御朱印帳
寒河江珈琲
慈恩寺うどん
雪洞(ぼんぼり)

(中左)直販店がないという軽部草履。ここで購入できるのは貴重です!手頃な価格のものを中心にラインナップ。定期的に鼻緒の柄も変わるそうなのでお楽しみに。(中右)慈恩寺らしい、彼岸花が描かれた御朱印帳。(下右)月山和紙あかりアーティスト、せいのまゆみさんの「雪洞(ぼんぼり)」。キャンドルを灯すとほっこり優しいあかりに癒されます

(2枚目)直販店がないという軽部草履。ここで購入できるのは貴重です!手頃な価格のものを中心にラインナップ。定期的に鼻緒の柄も変わるそうなのでお楽しみに。(4枚目)慈恩寺らしい、彼岸花が描かれた御朱印帳。(7枚目)月山和紙あかりアーティスト、せいのまゆみさんの「雪洞(ぼんぼり)」。キャンドルを灯すとほっこり優しいあかりに癒されます

気軽にお子様と一緒に。地域と子どもたちの未来を照らしていく―

1歳のお子さんがいらっしゃるという佐野さん。自分が子育てをするようになると、“小さい子どもを気軽に連れていける場所”が少ないと感じるように。「慈恩寺テラスがそんな場所の一つになれたらと『子育てパスポート』の登録や、寺そばでの『お子様セット』の販売もはじめました。この夏は子どもたちが虫取り網を持って遊んだり、芝生で走り回ったりしてすごく賑やかでしたし、そういったファミリーに向けて応援の役割も果たしていきたい」と語ります。

ワークショップ1
ワークショップ2
ワークショップ3
ワークショップ4
ワークショップ5
ワークショップ6

お子さんと一緒に楽しめるワークショップも定期的に開催。寒河江市イメージキャラクター チェリンとコラボしたイベントも!ときおり、チェリンが慈恩寺テラスに遊びに来てくれますよ♪(写真提供:慈恩寺テラス)

慈恩寺テラスでは定期的に楽しいイベントや、小さいお子さんも体験できる手作りワークショップなどを開催しています。
「子どもの頃から慈恩寺という郷土の歴史に触れてほしいですね。そのためにも子どもたちに楽しんでもらえる企画を考え、ファミリー層の憩いの場としても活用していただきたいです。 “未来を照らす”という意味で、これからの未来を担う子どもたちへの“学びの場の提供”を目指していきたい」と佐野さん。
「将来、子どもたちが県外へ出て行っても、地域の魅力を発信してもらいたいですし、県外へ出て行った人たちにも、また戻ってきてもらえるように寒河江の魅力を伝えていく、そういった役割も担えたら」と将来への想いを話してくださいました。

郷土の史跡・慈恩寺の交流の場として、次々にワクワクする企画やイベントを開催し、私たちを楽しませてくれる慈恩寺テラス。歴史好きな大人から、お友達同士、お子様連れのファミリーまで、誰もが楽しみ、学び、くつろげるこの場所にこれからも多くの人々が集い、輝く笑顔が生まれていくに違いありません。

 

 

慈恩寺テラス
史跡慈恩寺旧境内ガイダンス交流拠点施設

寒河江市大字慈恩寺1178-1

この記事を書いた人
そらいろかいぎさん

そらいろかいぎさん
Profile 山形会議のキュレーター。寒河江市出身。マイペースそうに見えるが、どうやら見えないところで人並に緊張しているポーカーフェイス。某ネズミのキャラに似ているとの声も。
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