2019年に開園50周年を迎えたリナワールド。入場口から階段を昇ると眼前に広がる「これぞ遊園地」という風景に、何度訪れても心が躍ります（画像提供：リナワールド）

山形県唯一にして東北最大級の遊園地「リナワールド」。新しい生活様式下において地元や近隣での旅行・観光を楽しむ“マイクロツーリズム”が注目を浴びる中、夏休みにリナワールドへ遊びに行く計画を立てているファミリーも多いのではないでしょうか。今回は、年間フリーパス会員（通称：リナメイト）歴２年、ヘビーユーザーである私こと山形会議のライター・あかかいぎが、リナワールドの総務部総務課長 兼 営業部企画販売促進課長の山川千恵さんを直撃！改めて皆さんにお伝えしたいリナワールドの魅力や楽しみ方について、たっぷりと取材してきました。

遊園地で遊ぶ楽しさだけではなく、豊かな自然に触れることで癒しを提供したい

山形県上山市にある東北最大級の遊園地「リナワールド」。広大な敷地にはハローキティをテーマにしたアトラクションが多数揃うメルヘンランドとジョイフルゾーン、エキサイトゾーン、夏期に営業のリナビーチの大きく4つのエリアがあり、小さな子供から大人までが楽しめる人気の観光スポットです。

広い上に起伏に富んだリナワールドの立地。遊びにくれば運動不足解消になること請け合い。はたまた効率のよい回り方を考えるのも勝手知ったるリナメイトとしての腕の見せ所です

さて遊園地と言えば、刺激的な乗り物や派手なアトラクションに目がいきがち。ですがリナワールドの魅力の原点は、前身である山交ランド開業時の構想“森に囲まれた遊園地”を起点とした自然溢れる環境にこそあると、山川さんは話します。

人事異動によりヤマコー本社から2020年の秋にリナワールドへ配属されたという山川さん。山形市のご出身で、リナワールドは子どもの頃に大型連休や夏休みには必ず家族で遊びに来た思い出の場所だといいます

「LINA WORLDはLIGHT（光）、NATURE（自然）、WIND（風）・WATER（水）、それぞれの頭文字とWORLDをかけ合わせて名づけられた名前だと聞いています。園内には滝や川のほか、噴水などの親水スポットがふんだんにあるのですが、それらはこの土地の地下水を活用したもの。さらに60種類以上の木々があったり、季節によってさまざまなお花を植え替えていたりと、自然を存分に感じていただけるような空間づくりをしています。私たちが一貫して使用している“WE LOVE NATURE”のキャッチコピーのとおり、リナワールドの自然は、これからも変わらずに守っていきたい価値であり、ゆるがないコンセプトだと考えています」

苔むした岩々の間を流れる清流や、春にはしゃくなげの花や滝を愛でながら渡る石橋、森林浴を楽しめる散策路に観音堂まで。今まで当たり前のように目にしていましたが、改めて考えると他の遊園地ではなかなか出会えない光景に思えます

四季折々の花々が訪れる人々の目を楽しませます。「花壇は丁寧に手入れしていますのでぜひお花にも注目してください」と山川さん

新しい取り組みもぞくぞくと。いまリナワールドがアツい！

自然溢れる遊園地のコンセプトを脈々といまに受け継ぐリナワールド。伝統を大切にする一方で、新しい取組みにも果敢に挑戦しています。

2021年4月には、新アトラクション・立体迷路が登場しました。注目すべきは、脱出には知力と体力、そして発想力を要するという迷路の難解さ。「小さいお子様向けのアトラクションが多くを占める当園にしては異色な存在かもしれません」と山川さん。体験した人からは『なめてかかると大人でも大変なことになる』『これはガチなやつだ』『なぜか子どもよりも大人の方が難儀する』などの声があがり、巷ではちょっとした話題になっている模様です。取材クルーも早速挑戦したところ、ゴールまでに要したのはなんと40分。今となっては入場前にスタッフの方からかけられた『トイレ行っておかなくて大丈夫ですか?』の一言がすべてを物語っていたように思えます・・・。

立体迷路のネーミングは公募によって寄せられた約1,200の候補から選ばれる予定です。屋根がない迷路の中には落ち葉が舞っていたり、トンボが飛んでいたりと、ここでも自然を満喫できます

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リナワールドにとって、実に７年ぶりとなる新アトラクションの導入。その経緯について山川さんはこのように教えてくださいました。「もともとこの立体迷路は東京のとしまえんさんにあった『トリックメイズ』なのですが、としまえんさんの閉園に伴い、遊具メーカーさんからぜひ設置してみないかという話を頂戴しました。まず素材に木を使っているという点で自然を大切にしている当園にマッチすると思いましたし、これまでのリナワールドには少なかった体を使うアトラクションであることも魅力に感じました」。この立体迷路、ゴールしても再び挑戦したがるお客様が後を絶たず、利用者はすでに延べ7,000人以上（2021年6月時点）。生まれ変わった今も、ここで忙しく第2の人生を歩んでいるようです。

立体迷路から北東の方向に進み、坂を上ったところにある手作り体験工房。その目の前の通路に待ち受けていたのは、2021年6月に登場した「アンブレラロード」です。約120本にも及ぶ色とりどりの傘が空を彩ります。

全長約15ｍに渡るアンブレラロード。こんな光景に出会えるなら、雨でも嬉しい気持ちになりますね。ファンタジー感溢れるインスタ映えスポットを、ぜひ一度訪れてみては

どうしても足が遠のきがちな梅雨の時期、少しでも来園してもらえるきっかけにと前年から企画し実現したものなのだとか。まさに雨上がりのタイミングだった取材中も、ここで立ち止まり楽しそうに撮影に興じるたくさんの方々の姿がありました。「たとえ小さなことでも構わないので、リナワールドに行ったら絶対何か“楽しい”が待っている。そう思っていただける仕掛けを今後も作っていきたいです」と目を輝かせながら山川さんは話してくださいました。

上級編！？スタッフさんが推薦するリナワールドのディープな遊び方

せっかくなので、リナワールドを知り尽くしたスタッフの方々に知る人ぞ知る面白い遊び方を教えていただきました。「これからのシーズン、特におすすめなのは『急流すべり』からの『カチンコチン』。水で濡れた体のままマイナス20℃の冷凍庫の世界へ。猛暑の暑さも一瞬で吹き飛びますよ」。

水面に急降下する「急流すべり」。これまでレインコート持参で防水に努めていた私ですが、これからはあえて濡れにいき「カチンコチン」に直行することを誓います（画像提供：リナワールド）

夏場に限らず人気を集めるという「カチンコチン」。中に入るとまさに瞬間冷凍！インスタ映え必至の撮影スポットも待ち受けます

「それから、『Magicミラーワールド夢幻』、5月1日にオープンした『VRシアター～ウルトラ逆バンジー～』、『パニくるバランス』の３箇所を回るコースはどうでしょうか。いずれも視覚体験型アトラクションなので、リナワールドが誇る“ぐらつく３拍子”をマニアックに楽しみたい方におすすめですよ」

有機ELと鏡を使った人気アトラクション「Magicミラーワールド夢幻」。鏡の迷路とまるで銀河の世界に迷い込んだような幻想的な空間が広がります

モーションシートＭＸ4Dと360度VR映像が生み出す「ウルトラ逆バンジー」では脅威の絶叫体験が楽しめます

頭がぐるぐる、ユラユラ・・・まっすぐ歩こうとしてもバランスを失って歩けない、不思議な部屋。「Magicミラーワールド夢幻」「ウルトラ逆バンジー」を経たいま、あなたの三半規管はどこまで耐えられるか！？（自己責任でお楽しみください）

リ、リナさん・・・こんなにお得で本当にいいんですか！？

多彩な魅力満載のリナワールド。せっかくならお得に楽しみたいという方や定期的に利用するのであれば強くおすすめしたいのが、年間フリーパスです。料金は3～64歳が対象のリナメイトは12,500円（64歳以上が対象のシニアメイトは7,500円）。１日利用のフリーパスが4,000円（子ども・シニアは3,700円）なことから、なんと3回利用すれば元がとれてしまうというお得ぶり。さらに年間フリーパスでリナビーチの利用も可能なことから、プール目的のリナメイトさんもたくさんいらっしゃるのだとか。（※）
「小さいお子さんのいるご家庭で、平日の幼稚園がおわった後、閉園までの２～３時間だけ親子で遊びに来てくれるリナメイトさんもいらっしゃいます。ぜひ公園感覚で利用していただければ」と山川さん。お得なだけではなく、混雑する時間帯や密を避けて安全かつ効率的に遊べるという点も大きな利点です。

※2021年のプール営業は中止となります。「ウォーターアドベンチャー」（カヤック体験・アクアチューブ）をお楽しみください。詳しくはリナワールドのホームページをご確認ください

本人のみ利用可能な年間フリーパス。顔写真入りなので、毎年更新していけばお子さんの成長の記録としても楽しめるかも

リナメイトの証であるゴールドのフリーパスバンド。各アトラクションの搭乗口でスタッフの方にこのバンドを見せるたびに、印籠をかざす水戸黄門のごとく誇らしげな気分に浸れます（個人の感想です）

遊園地の醍醐味といえばお土産選び。レアなサンリオ商品も揃う「ジョイフルショップ」

思いっきり遊んだ後は、ショッピングも楽しみたいですね。山川さんのご案内で取材クルーはジョイフルショップへ。バラエティに富んだ限定グッズやお菓子の中から、特に人気のお土産を教えてもらいました。

「一番人気は、なんといってもリナワールド限定の『ハローキティのプリントクッキー』。それから昨年から仕入れはじめた『アクションキャップ』も小中学生の女の子を中心に爆発的に売れています。リナワールドはサンリオ商品のラインナップにはかなり力を入れているんですよ」

「迷ったらこれを買えば間違いないと言うくらいに定番にして最強のリナワールド土産」と山川さん

サンリオキャラクターのアクションキャップ（2,530円）。手もとのエアーポンプを押すと耳がピョコっと動く、なんともかわいらしく楽しい帽子

小さいお子様連れのファミリー客も多いことから近年仕入れはじめたというサンリオのベビーグッズ。売れ行きも好調だといいます

いつの時代も女子を虜にするサンリオキャラクターのグッズが豊富に揃います。「サンリオさんから“そんなに仕入れて大丈夫ですか”と心配されたこともあるんですよ（笑）。おそらく県内一の品揃えかと思います」と山川さん。中には『けろけろけろっぴ』や『タキシードサム』など昭和生まれのママ世代には懐かしいキャラクターも。ここにしかないレアなグッズを求めてサンリオフリークも訪れます

「ほかにも、お客様からのリクエストをきっかけに作ったオリジナルTシャツとタオルも好評です。それからリナワールドのフリーパスの形をしたマグネットは思い出づくりとしても個人的にもおすすめしたいお土産です」

20・30代を中心に人気だというオリジナルTシャツ（2,000円）とオリジナルタオル（550円）。フリーパスをかたどったオリジナルマグネット（330円）は、日ごとに色が変わるフリーパスに合わせて同じ色のマグネットを買うのも一興

大切なのはマニュアルの向こう側。血の通った接客を目指して

リナワールドをまた訪れたくなる理由の一つに、スタッフの方々のホスピタリティがあります。頻繁に利用するアトラクションのスタッフさんの中には、名前を覚えてくださり「また来てくれてありがとう」と声をかけてくれる方も。

「月並みですが、人が好き、子どもが好きと心から言える人材を採用しています。お客様に笑顔になってもらう場所だからこそ、受け入れる私たちも常に笑顔。もちろん、一律のレベルで理想的な接客ができているかと言えばまだ課題は残りますが、とにかく目と目を合わせた笑顔の交換を心がけています」と山川さん。そしてこうも続けます。「お客様の安心安全を第一に考えると、時には年齢や身長制限で搭乗をお断りしなければならない場面もあります。その時に機械的に伝えるのではなく、相手の立場に寄り添い、残念な気持ちにどれだけ共感して対話することができるかがとても大切になってくるのかなと思います」。

実際にお客様から感謝されたという、こんなエピソードも。お子様の身長が利用条件に足りずお断りされた時、スタッフさんがかけてくれた「でもきっと来年は乗れるね」という一言がとても嬉しかったというお客様がいたそうです。山川さんは「それはマニュアルには書き表せない部分ですので、スタッフ一人ひとりが先輩の背中を見て、対応を学んでいる部分。そういった血の通った接客ができる人と一緒に働けることが嬉しいですね」と笑顔を見せます。

どんな遊園地でも未就学児がぶつかる年齢制限や身長制限の壁。利用できないというネガティブな情報を伝える瞬間にこそ、山川さんが指摘するとおり接客の真価が問われるのかもしれません

遊園地だからできることと、遊園地だけじゃできないこと。その掛け算から新しいワクワクを

コロナ禍により、改めて遊園地の存在意義を見つめ直すきっかけになったと山川さんは振り返ります。「いままでは県外だった修学旅行の行き先を、今年は地元であるリナワールドにと言ってくださる学校様が増えました。運動会や遠足などが中止になって、思い出をつくる機会そのものを奪われているお子さんも多い中、貴重な思い出づくりの場所になれることが嬉しいですし、同時に責任の大きさも感じています」。

人々の人生を豊かにするために、“非日常”は必要不可欠なもの。リナワールドも、お客様の心に潤いや栄養を与える存在でありたい―。それがスタッフの方々の想いだとも。

「これまでは遊園地単体でイベントをしたり、遊園地内で完結する取組みが多かったのですがこれからはそうではなくて、いろんな業種やジャンルと繋がって、新しいものを作り出していきたいという構想があります。例えば遊園地×教育、遊園地×地域、遊園地×アウトドアなど。遊園地だからこそできることと、遊園地だけじゃできないことを掛け合わせることで、これまでの枠にとらわれない楽しみ方を模索していけたら。そういうことができたらきっと私たちもお客様も面白いし、新しいワクワクやドキドキが生まれていく気がします」。そのように今後の展望を語ってくれた山川さんのお話に、いちリナワールドファンとして、そして山形県民として、一層期待が高まっていきました。

約1,000人を収容するプラザステージ。「このステージを今後は地域に開放し、音楽やダンスの発表会、幼稚園や学校さんに活用していただく計画も考えています」。コロナ以前は開催していたイベントショーなどは軒並み中止となっている現在ですが、再び賑わいを取り戻すその日を今は静かに待っているかのようです

この夏休みはリナワールドへ。そしてはじめてみませんか？リナメイト生活

何度も訪れ、身近な存在に感じていたリナワールド。ですが取材をしてみて改めて、隠れていた魅力やこれまで知らなかった楽しみ方に出会うことができました。開園時のコンセプトを大切に継承しながらも、新しい可能性にチャレンジし変化し続けるリナワールドから、次はどんなワクワクするニュースが発信されていくのかがとても楽しみです。さて、とりあえず今週末もリナさ遊びに行ってくっかな！